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高齢犬の認知症について|愛犬が老後を安心・快適に過ごせるように

倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。

岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。

 

愛犬が年齢を重ねるにつれて、行動や性格に変化が見られることがあります。特に高齢になると認知症の症状が現れ、そのために愛犬の生活の質が大きく低下してしまうことがあります。

年老いた愛犬が快適に過ごせるようにするためには、ご家族の正しい理解と適切なケアがとても重要です。家族みんなで愛犬を支え、少しでも安心して過ごせる環境を作ってあげましょう。

 

今回は、高齢犬の認知症について、その症状、原因、診断方法、治療、そして予防法や家庭での注意点について詳しく解説します。

■目次
1.認知症とは?
2.症状
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ

 

認知症とは?


認知症とは、いわゆる「痴呆」のことであり、脳の機能が低下し、認知能力や記憶力に障害が生じる状態です。認知症を持つ犬は、日常生活において様々な困難を抱えることがあり、飼い主様の理解とサポートが欠かせません。

 

症状


高齢犬の認知症の主な症状には、以下のようなものがあります:

 

方向感覚の喪失:家の中で迷子になる、外に出ると帰り道がわからなくなるなど。

無目的な徘徊:同じ場所をぐるぐる回る、無目的に歩き回る。

昼夜逆転:夜間に目が覚めてしまい、昼間に眠りがちになる。

トイレの失敗:トイレの場所を忘れてしまい、排泄の失敗が増える。

反応の鈍化:名前を呼んでも反応しない、以前は興味を持っていたものに無関心になる。

 

原因


高齢犬の認知症の原因は、主に脳の老化によるものです。具体的には、脳の萎縮やアミロイドなどのタンパク質が蓄積することが原因であると考えられていますが、詳しいことはまだ完全には解明されていません。

 

以前は、柴犬などの日本犬で認知症を発症しやすいといわれていましたが、現在では犬種を問わず、高齢犬では発症するリスクがあると考えられています。

 

診断方法


高齢犬の認知症の診断は、主に問診と身体検査によって行われます。この際、愛犬の日常の様子や行動の変化について、飼い主様からの詳細な情報が非常に重要となります

 

また他の神経疾患や全身性の疾患を除外するために、神経学的検査や血液検査などが行われることもあります。

 

治療方法


現在のところ、認知症を完全に治す治療法はありません。しかし、症状を緩和し、進行を遅らせるために内服薬サプリメント療法食などが使用されることがあります。

また、認知機能を刺激するための訓練や遊びを取り入れると効果的です。

 

予防法やご家庭での注意点


一度認知症の症状が出てしまうと、症状がない状態に戻すことは難しいため、愛犬が高齢期に差し掛かってきたら早めの対策が重要です。

 

日常的に散歩を行い、運動をさせることで脳の活性化を促しましょう。知育トイなどを利用して、頭を使う遊びを取り入れるとより効果的です。

また認知症を予防するサプリメントは、症状が出る前から早めに使い始めるとよいでしょう。

 

認知症を発症してしまった場合、愛犬が家の中で迷ってしまわないように、部屋の模様替えはなるべく避けましょう。また狭いスペースに入り込んで出られなくなってしまうことがあるため、そのようなスペースは作らないよう工夫しましょう。

 

まとめ


犬の認知症は、完全に治すことが難しい複雑な疾患です。進行を遅らせるためには、なるべく早く発見して対応する必要があります。認知症の初期症状は「年のせいかな?」と見逃されてしまうことも多いため、少しでもおかしいと感じた際は、認知症の可能性を疑うことが重要です。

 

愛犬の認知症が心配な飼い主様は、ぜひ一度当院へご相談ください。

 

岡山県倉敷市にある「倉敷動物愛護病院」
ペットと飼い主様にとって最善の診療を行うことを心がけております。
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