Home > NEWS一覧

NEWS

猫の健康診断開始!(7~9月)

猫の健康診断について

大切な家族の一員である愛猫にはいつまでも元気で健康に過ごしてもらいたい。

猫は体調不良を隠す動物です。飼い主様の目には普通に見えても、実は病気を抱えていることもあります。飼い主様が異変に気づいた時にはかなり進行していて治療が難しいということもあります。

シニアでは実際に関節炎や甲状腺機能亢進症、慢性腎臓病、腎結石、心筋症、ガン等の多くの病気が見つかっています。

そこでおすすめしたいのが「健康診断」です。

 

今回は猫ちゃんの健康診断について以下の6点をお話ししていきます。

①猫に健康診断は必要?5つのメリット!

②健康診断の頻度の目安について

③健康診断で行う検査内容について

④健康診断の時期・費用について

⑤健康診断の事前準備について

⑥移動中・来院時・帰宅時の猫のストレス緩和について


猫に健康診断は必要?5つのメリット!

 

①不調の早期発見

②病気の早期治療と予防

③データの蓄積

④ペットの日常のケアについてのアドバイス

⑤安心のために

 

①不調の早期発見
健康診断は、ペットが抱えているかもしれない健康上の問題を早期に発見する最も効率的な方法の一つです。
ペットは痛みや不調を言葉で伝えることができないため、飼い主さんが日常生活で気づきにくい隠れた症状や問題点があります。
例えば、歯石の蓄積、皮膚のトラブル、目の異常、耳の感染症などがこれに該当します。

②病気の早期治療と予防
健康診断は病気を早期に発見し、早めに治療を開始する大切な手段です。
特に慢性的な病気や進行性の病気に対しては、早期発見がその後の治療や対処法に大きく影響します。
さらに、病気を未然に防ぐ予防措置も健康診断でアドバイスを受けられます。

③データの蓄積
健康診断で得られるデータは、ペットが健康な状態のときから蓄積されることが理想です。
このデータがあると、ペットが病気になった際にその変化を明確に捉え、より正確な診断と効率的な治療が可能となります。

④ペットの日常のケアについてのアドバイス
健康診断を受けることで、獣医師から日常のケアについても具体的なアドバイスが得られます。
例えば、食事の改善や運動量についての指導があれば、それを実践することでペットの健康維持がより効果的になります。

 ⑤安心のために
健康診断はペットだけでなく、飼い主さん自身の心の安定にも関係します。
ペットが健康であることを知ると、飼い主さんも日々のケアに自信を持てるようになります。
また、何か問題があれば早期に対処できるため、後々の不安を大きく減らすことができます。


健康診断の頻度の目安について

 

ねこちゃんの健康診断の頻度の目安は、年齢、ライフステージごとに異なります。
それぞれ大きく3つに分けて解説していきます。

①子猫 (一歳未満)

②成猫(1歳~6歳)

③シニアの猫(7歳以上)

 

*猫と人間の年齢換算表

ライフステージごととしましたが、あくまでざっくりとした年齢の基準として捉えていただけたら幸いです。

子猫 (一歳未満)
生後4ヵ月になるまでは、必要なワクチン接種やノミダニ予防を全て完了するため月に1度程度が目安です。
生後6ヵ月頃からは、避妊・去勢手術に適した頃合いのため、そのための術前検査で診察に訪れる飼い主さんが多いかと思います。
また、外猫あがりで初めて血液検査を受ける猫ちゃんにつきましてはエイズと白血病の検査を同時に行うと安心です。
その後は、目安としては1歳になったころに健康診断を受けるとよいでしょう。

②成猫(1歳~6歳)
ペースとしては年に1回、健康診断を受けるのが理想です。
ねこちゃんの通常の行動や変化を獣医師が知ることにより、ねこちゃんに何か変化があった際に獣医師が病気に早期に気付く可能性が高くなります。理想としては年に一度程の頻度で実施することがおすすめです。

③シニアの猫(7歳以上)
少なくとも年2回(半年に1回)の健康診断を受けることをおすすめします。もし、健康上の問題がある時は、それに応じて頻繁に受ける必要があります。
腎臓病や糖尿病・関節炎など、多くの病気は高齢のねこちゃんに多いため、シニアの年齢になったら頻繁にチェックすることが大事です。

*半年に1回の健康診断と言うと、多いと感じるご家族さまもいらっしゃるかもしれません。
ただ、猫は人間の約4〜5倍のスピードで年をとります。猫の7歳は人間でいえば、50歳近い年齢です。急速に進む加齢によって起こる外見からはわかりにくい変化を見つけるためには、半年に1回受診いただくことをお勧めしています。


健康診断で行う検査内容について

 

・問診

・触診・視診・聴診

・血液検査(オプション項目も)

・尿検査

・便検査

・レントゲン検査

・超音波検査

 

【問診】
獣医師が飼い主さんに、普段の様子などの聞き取りを行います。気になることがある場合は、事前にメモをしてから健康診断に臨むといいでしょう。

・食欲の有無(食の好みの変化)

・飲水量の増加の有無(実際の飲水量)

・排便の異常(状態や回数の変化)

・排尿の異常(色や回数の変化)

・嘔吐の有無(ある場合には色と回数、どのようなときに嘔吐するのか)

・睡眠時間の変化(寝起きする時間に変化はないか、睡眠環境に変化はないか)

・運動の変化(動きがゆっくりなのか、まったく動かないのか)

・最近ストレスはなかったか(精神的なものだけではなく、気候や環境の変化も含む)

・心拍数や呼吸数の変化(普段に比べ極端に速かったり遅かったりしないかどうか)

・体温(おなかや耳など皮膚の薄いところを触り、いつもより熱かったり冷たかったりしないかどうか)

・触って嫌がるところはないか(そもそも触られることが嫌なのか、場所によるのか)

【触診】
猫の体全体を触りながら、体に異常がないかを調べます。リンパ節などに腫れはないか、異常なしこりはないか、関節は正常に動くかなどです。

【視診】
目視で、猫の体をチェックします。太ったり痩せたりしていないか、毛並みに異常はないかなどです。目・口・耳の中も、この段階で検査してくれますよ。

【聴診】
聴診器を胸や背中に当て、心臓の音・肺の音・気管から伝わる音などを聞きながら、異常がないかを検査します。

【血液検査】
血液を採取し、遠心分離機で血球成分と上澄みの部分に分離します。血球成分では赤血球や白血球の数などから貧血や感染の有無を確認します。上澄み成分では「血液生化学検査」という検査を行い肝臓や腎臓などの各臓器の数値を確認します。

*その他のオプションの検査項目

『SDMA』
早期に腎臓病を評価できるバイオマーカー。腎機能が40%以上障害されると高値になります。全年齢で検査を検討
通常の血液検査項目(CRE:クレアチニン)に比べて平均で17ヶ月も早く腎臓病を早期発見でき、筋肉量の影響を受けません。

『T4』
甲状腺機能亢進症を診断に必要な甲状腺ホルモンの値。7歳以上では検査を検討する。

『スナップproBNP』
血液中のNT-proBNPを検出することで心筋への負荷の増大を検出できる。無症状の中等度以上の心筋症の猫の85%を検出できる。全年齢で検査を検討
猫の心筋症は聴診で診断できることは少なく、水面下で進行・悪化し症状が出る頃にはかなり進行した状態で見つかることが多いです。

【尿検査】
尿検査では、尿のpHやタンパク質を調べる「尿検査」と、尿を遠心分離機にかけて沈殿物を調べる「尿沈渣検査」があります。尿を調べることで、泌尿器や腎臓に関する病気をはじめ、全身のさまざまな病気を見つけることができるのです。

【便検査】
便に含まれる粘液や寄生虫、血液の有無、細菌バランスや消化具合などを調べます。便は時間が経つと成分が変質してしまうので、病院にはなるべく新鮮な便を持参しましょう。

【レントゲン検査】
レントゲン検査は、骨や関節の異常を早期に発見できます。その他心臓、肺、胃、肝臓、腎臓などの各臓器の大きさや形、位置を確認します。腹水や胸水、消化管内のガス貯留の多さも見ることができます。誤飲してしまった異物や結石などが見つかることもあります。

【超音波検査】
体の表面に超音波を当て、返ってきた超音波で内臓の様子や動きをチェックします。心臓の動き、心筋の厚さ、結石の有無などが調べられる、とても大切な検査のひとつです。

<注意事項>
質の高い超音波検査のためには観察部位の毛刈りが必要になりますのでこちらから『毛刈りをしてもいいですか?』と確認させていただくくことがあります。
猫ちゃんには被毛があり検査機器(プローブ)との間に障害物(毛、空気)やスペースが出来てしまいます。毛を刈らずして検査をする場合、画像の解像度が減少し情報量の多い正確な画像を得られません。時とし病変の見落としや誤解釈に繋がりかねません。
毛刈りに対するご理解とご協力をお願い致します。

 


健康診断の時期・費用について

<時期>

当院では猫ちゃんの健康診断を7〜9月の夏1〜3月の冬に実施しております。

<費用>

 

春の健康診断

大きく3つのコースを用意しておりますが、オプションの検査項目についてはカスタム追加可能です。

例)シンプルコース+超音波検査、バランスコース+T4

<血液検査オプション項目>

T4     4500円→3500円

スナップproBNP 5000円→4000円

SDMA     1300円→1000円

 

健康診断の時期は検査費用がいつもより安くなっております。
この時期にぜひ健康診断を受けてください。


健康診断の事前準備について

・獣医師に相談したいことはメモをしておく。問診事項の確認。

<確認事項>

・食欲の有無(食の好みの変化)

・飲水量の増加の有無(実際の飲水量)

・排便の異常(状態や回数の変化)

・排尿の異常(色や回数の変化)

・嘔吐の有無(ある場合には色と回数、どのようなときに嘔吐するのか)

・睡眠時間の変化(寝起きする時間に変化はないか、睡眠環境に変化はないか)

・運動の変化(動きがゆっくりなのか、まったく動かないのか)

・最近ストレスはなかったか(精神的なものだけではなく、気候や環境の変化も含む)

・心拍数や呼吸数の変化(普段に比べ極端に速かったり遅かったりしないかどうか)

・体温(おなかや耳など皮膚の薄いところを触り、いつもより熱かったり冷たかったりしないかどうか)

・触って嫌がるところはないか(そもそも触られることが嫌なのか、場所によるのか)

・気になる症状については動画を撮っておく。(跛行や神経症状など)

尿検査や便検査をする場合は、自宅で採尿・採便をして動物病院に持参してください(1〜3時間前のものが理想)ただし、採れない場合は病院で採りますのでご安心ください。1〜3時間前のものが理想です。

・血液検査をする場合、腹部超音波検査をする場合は、食事が検査に影響してしまうため、採血前の12時間は絶食が基本です。絶食できなくても検査は出来ますが質の高い検査をお望みであれば絶食をお勧め致します。

 

猫が病院を嫌がるので健康診断に連れて行けない場合はどうする?

 

病院に連れて行こうとすると愛猫が嫌がったり暴れたりするということがあるかもしれません。健康診断は病気やケガと違い、急を要するものではないため「無理して行かなくてもいいかな」と思ってしまう飼い主さんもいるかもしれません。

どうしても連れて行くことが難しい場合、自宅で採取したものを持ち込むことで、尿検査や便検査は出来ます。尿や便には、健康把握に欠かせない情報が詰まっています。見えないところで病気が進行していることもよくある話なので、検討してみる価値はありそうです。


移動中・来院時・帰宅時の猫のストレス緩和について

 

①移動中のストレス緩和方法

②病院内でのストレス緩和方法

③帰宅後のストレス管理

 

①移動中のストレス緩和方法

車や徒歩での移動時のストレスは「安全毛布」をキャリーバッグに入れることで緩和させましょう。「安全毛布」とは子猫の頃から使っていたり、お気に入りで臭いを嗅ぐだけで安心できるような毛布やタオルのことです。飼い主様の臭いで落ち着く猫には、飼い主様の服を入れてあげても良いでしょう。
キャリーバックは受診の際に必須です。狭くて暗い場所が安心する猫にとって移動中はできるだけ外を見ないことがベストです。キャリーバックの中に安全毛布を入れ、さらに外から軽めのタオルをかけるなどの目隠しを行うことでストレスを緩和させられます。
キャリーバックには色々なタイプがありますが、外が見えすぎる窓付きのものはおすすめできません。キャリーバックではなく、段ボールで代用したりハーネスを付けて抱っこというのもNGです
普段は落ち着いている愛猫でも、一歩外に出ると何かに驚いて飛び出してしまったり、上から物が落ちてくるなど危険がいっぱいです。必ず強度のある専用のキャリーバックを使いましょう。

猫ちゃんによっては100円ショップなどで簡単に入手できる洗濯ネットを利用すると本人も安心できますし診療も安全にできます洗濯ネット+硬めのキャリーバック+安全毛布がベストですね!

 

 

②病院内でのストレス緩和方法

動物病院に着いたら、待合室ではできるだけ他の飼い主様との距離を取りましょう。キャリーバックにはタオルをかけたままにします。キャリーケースを置く場所は、扉側を壁や椅子など重いものに密着させるのがおすすめです。万一誰かがキャリーケースを蹴ってしまうなどのトラブルがあっても、簡単に扉が開かないからです。
飼い主様が座っている足元でも良いでしょう。置く場所がなく、膝の上に置く場合は、つい何度もタオルをめくって愛猫の様子を見てしまうことがありますが、猫にとって普段と異なる環境でじろじろみられることはストレスです。できるだけそっとしておきましょう。

 

③帰宅後のストレス管理

健康診断は、普段慣れないことをたくさんされるため、愛猫はぐったり疲れています。帰宅後は濡れタオルで体を拭き、病院や他の動物の臭いを消してあげましょう。飼い主様自身もシャワーを浴びて着替えるとより良いでしょう。帰宅後しばらくは、猫は飼い主様を避けたり、反対にそばを離れなくなることもあります。どちらも一過性のものなので、神経質になりすぎなくて大丈夫です。長くても2~3日で元の様子に戻るでしょう。


どんな猫も老化が始まる時期が来る

老化とは、身体のさまざまな生理的機能が加齢に伴い減退し、元に戻らず進行していくこと。今までよりも被毛の雰囲気が変わる、動きが鈍くなってくるなど、ちょっとした違いが老化のサインかもしれません。

老化のサインへの「気づき」は、飼い主さんの観察力にかかっています。まずは、いつもの状態をよく知っておくこと。つまり『健康診断』を受けることが大切なのです。