獣医師コラム一覧
-
- 2024/11/20
- 犬や猫の病気のサイン...
-
- 2024/11/20
- シニア犬の健康ケア法...
-
- 2024/11/19
- 犬や猫の歯の健康が全...
-
- 2024/11/19
- 愛犬や愛猫の肥満を防...
-
- 2024/10/24
- 愛犬・愛猫の歯周病を...
-
- 2024/10/24
- 犬や猫の適切な栄養管...
-
- 2024/10/24
- 犬と猫の膀胱炎につい...
-
- 2024/10/24
- 犬の無駄吠えの理由や...
-
- 2024/09/10
- 猫の口内炎について|...
-
- 2024/09/10
- 猫伝染性鼻気管炎につ...
獣医師コラム
猫の甲状腺機能亢進症|食欲旺盛なのに痩せる?高齢猫に多い病気
倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。
岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンの過剰分泌によって引き起こされる病気であり、代謝が異常に高まるため、さまざまな体調不良を引き起こす可能性があります。
この病気の特徴は、猫の行動や体重、食欲に顕著な変化をもたらすことです。適切な治療と管理を行うことで、愛猫の生活の質を維持し、健やかな日々を過ごすことができます。
今回は、猫の甲状腺機能亢進症について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
猫の甲状腺機能亢進症は、主に甲状腺の腫瘍や過形成によって引き起こされます。これにより、甲状腺ホルモンが過剰に生産され、新陳代謝が異常に高まります。
具体的な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下の要因が複合的に作用して甲状腺ホルモンの過剰分泌を引き起こすと考えられています。
・加齢
・飼育環境
・遺伝的要因
・食事
この病気は10歳以上の高齢の猫によく見られますが、どの年齢の猫でも発症する可能性があります。
症状
甲状腺機能亢進症の猫には、さまざまな症状が現れます。
最も一般的な症状としては、代謝が高まるために食欲が増す一方で体重が減少することです。その他にも、次のような症状が見られます。
・多飲多尿:水を多く飲むようになり、尿の量も増えます。
・落ち着きがない:行動が活発になり、落ち着きがなくなることがあります。
・下痢や嘔吐
・攻撃的になる
・毛並みの悪化
また、甲状腺機能亢進症は高血圧や心筋症、腎臓病などの深刻な合併症を引き起こす可能性もあります。
診断方法
猫の甲状腺機能亢進症の診断には、以下のようにいくつかの検査が必要です。
<触診>
まず、猫の喉の近くにある甲状腺を触診します。甲状腺が通常よりも大きく腫れている場合、甲状腺機能亢進症の兆候である可能性があります。
<血液検査>
甲状腺ホルモンのレベルを測定する血液検査は、診断において非常に重要です。特に注目するのはT4(チロキシン)というホルモンの値で、甲状腺機能亢進症の猫では、この値が通常の範囲を超えて高くなります。
<追加検査>
血液検査の結果を基に、さらに詳細な健康状態を把握するために追加の検査が行われることがあります。
・尿検査:腎機能を評価するために行います。甲状腺機能亢進症は腎臓に影響を与えることがあるため、重要な検査です。
・血圧測定:高血圧があるかどうかを確認します。
・一般血液検査:猫の全体的な健康状態や他の臓器機能を評価します。
・画像診断:X線検査やエコー検査を行い、心筋症などの甲状腺機能亢進症に伴う合併症の有無を確認します。
・眼科検査:高血圧に伴う網膜剝離など、目に合併症があるかどうかを確認します。
これらの検査結果を総合的に判断して、甲状腺機能亢進症の診断を下します。
治療方法
治療方法は病気の進行具合や猫の全体的な健康状態、飼い主様のライフスタイルに応じて異なります。主に以下の治療方法を組み合わせて行います。
<薬物療法>
最も一般的な治療法は、甲状腺ホルモンの生成を抑える薬の投与です。抗甲状腺薬は、甲状腺機能亢進症の症状を効果的に管理することができますが、薬を生涯にわたって毎日投与する必要があります。
また副作用に注意し、定期的な血液検査によるモニタリングが必要です。
<食事療法>
食事療法も有効な治療法の一つです。特にヨウ素制限食を使用することで、甲状腺ホルモンの生成を抑えることができます。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの生成に不可欠な要素であるため、食事中のヨウ素量を制限することでホルモンの過剰生成を防ぐことができます。
<手術による甲状腺摘出>
薬物療法や食事療法でのコントロールが難しい場合には、甲状腺を摘出する手術を行うこともあります。甲状腺摘出手術は、過剰にホルモンを生成する甲状腺組織の一部または全体を取り除く方法です。
しかし、手術を行うには全身麻酔が必要なため、特に高齢猫や他に健康問題を抱えている猫にはリスクが伴います。
<合併症の治療>
甲状腺機能亢進症は、心筋症や高血圧、腎臓病などの合併症を引き起こす可能性があります。これらの合併症に対する管理も治療の一環として重要です。
予防法やご家庭での注意点
甲状腺機能亢進症は、その発生メカニズムがまだ完全には解明されていないため、具体的な予防方法はありません。しかし、定期的に健康診断を受けることで、病気を早期発見し早期治療を行うことが可能です。
また、普段から愛猫の食欲や体重、活動レベルの変化に注意を払い、異常が見られた場合は速やかに獣医師に相談することが重要です。
愛猫のストレスを軽減し、適切な食事と快適な生活環境を整えることも病気の予防につながります。
まとめ
猫の甲状腺機能亢進症は早期に発見し、適切な治療を行うことで、愛猫の健康と生活の質を維持することができます。飼い主様は、日々の生活の中で愛猫の様子の変化に注意を払い、健康で快適な生活を送れるようサポートしましょう。
そして、定期的な健康診断を受けることも病気の早期発見につながります。
■甲状腺に関連する記事はこちらで解説しています
・犬の甲状腺機能低下症|愛犬の「なんとなくの変化」を見逃さない!
岡山県倉敷市にある「倉敷動物愛護病院」
ペットと飼い主様にとって最善の診療を行うことを心がけております。
一般診療はこちらから
獣医師コラム一覧
-
- 2024/11/20
- 犬や猫の病気のサインを見逃さな...
-
- 2024/11/20
- シニア犬の健康ケア法|高齢犬の...
-
- 2024/11/19
- 犬や猫の歯の健康が全身に与える...
-
- 2024/11/19
- 愛犬や愛猫の肥満を防ぐ!|簡単...
-
- 2024/10/24
- 愛犬・愛猫の歯周病を防ぐ!|歯...
-
- 2024/10/24
- 犬や猫の適切な栄養管理とは?|...
-
- 2024/10/24
- 犬と猫の膀胱炎について|寒い季...
-
- 2024/10/24
- 犬の無駄吠えの理由や対策方法は...
-
- 2024/09/10
- 猫の口内炎について|猫がご飯を...
-
- 2024/09/10
- 猫伝染性鼻気管炎について|猫が...