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獣医師コラム
犬や猫の噛み癖の理由や原因は?獣医師が教えるしつけの方法
倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。
岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。
犬や猫の噛み癖に悩む飼い主様は多く「性格の問題なのだろうか?」「しつけの仕方が分からない」といったことを、これまでたくさん伺ってきました。
しかし、噛む行動には必ず理由があり、その背景を理解することで改善につながります。
この記事では、犬や猫が噛む主な理由と、家庭で実践できる噛み癖の対処法をやさしく解説します。

■目次
1.犬や猫はなぜ噛む?噛み癖が起きる主な理由
2.犬が噛む理由と行動心理
3.猫が噛む理由と行動心理
4.今日からできる噛み癖の改善方法|犬・猫別の対策
5.それでも噛み癖が続く場合は?受診・相談の目安
6.まとめ|諦めないで向き合えば噛み癖は改善できる
犬や猫はなぜ噛む?噛み癖が起きる主な理由
「噛む=悪いこと」「しつけができていない」と感じてしまいがちですが、必ずしもそうではありません。噛む行動は動物としての本能や感情の表れでもあります。
まずは主な背景を確認していきましょう。
◆ 恐怖や不安、自己防衛のために噛む
知らない人や音、動物などに対して「怖い」と感じたときに、自分を守るために噛むことがあります。
◆ ストレスや欲求不満による場合
運動不足やかまってもらえない寂しさなど、心身のストレスが噛む行動として出ることもあります。
◆ 社会化不足
子犬・子猫のころに人や環境に十分慣れていないと、刺激への耐性が弱くなり、噛みやすくなる傾向があります。
◆ 遊びの延長(甘噛み)
特に若い犬や猫は遊びの一環として軽く噛むことがあり、これは「じゃれつき」や「狩りの練習」ともいえます。
◆ 歯の生えかわりや口の違和感
子犬や子猫の歯の生えかわり期は、むずがゆさから何かを噛みたくなることがあります。
さらに、病気や痛みが原因の場合もあります。口内炎、歯のトラブル、関節痛などで触れられるのを嫌がり、噛むことで「やめて」と訴えていることもあります。
このように「噛む行動」は性格ではなく、何かを伝えようとするサインなのです。
犬が噛む理由と行動心理

犬が噛む理由はこのような背景が考えられます。
◆ 社会化不足による不安
子犬の時期に十分な社会経験がないと、知らない人や環境に対して警戒心が強くなり、怖くて噛んでしまうことがあります。
◆ 遊びや興奮の延長
飼い主様の手をおもちゃのように感じて、つい甘噛みをしてしまうケースもよく見られます。
◆ 縄張り意識や要求行動
お気に入りの場所を守りたい気持ちや、「遊んで」「もっとかまって」という要求が、噛む行動につながることがあります。
注意したいのは、急に噛むようになったときです。
触られるのを嫌がる場合は、痛みのサインかもしれません。病気やストレスが背景にあることもあるため、早めの受診が安心です。
猫が噛む理由と行動心理

猫の場合も、噛む理由は様々な要因が考えられます。
◆ 愛撫誘発性攻撃
撫でられて気持ちよくしていたのに、急に噛みつくことがあります。これは「もうやめて」のサインで、猫は一定の刺激を超えると不快に感じる傾向があります。
◆ 狩猟本能による攻撃行動
動く手足を獲物とみなし、追いかけて噛むのは自然な行動です。
◆ 過去の恐怖体験やストレスによる防衛反応
保護猫などでは、過去のトラウマから人の手に過敏になる場合があります。
◆ 刺激不足や遊び不足
エネルギーが発散できない状態が続くと、噛む行動で気持ちを表すことがあります。
もし普段おだやかな猫が突然攻撃的になった場合は、体調不良や痛みのサインかもしれません。口内炎や関節の痛みなども関係するため、注意が必要です。
今日からできる噛み癖の改善方法|犬・猫別の対策
噛み癖を直すためには、「叱る」よりも「原因を理解し、環境を整える」ことが大切です。
まずは噛む前のサイン(耳の角度、体の硬直、しっぽの動きなど)を観察し、行動がエスカレートする前に距離をとるようにしましょう。
叩いたり、大声で叱ったり、口を押さえつける行為は逆効果です。恐怖や不信感を強め、防衛反応として噛みつきが悪化することもあります。
<基本5ステップ>
噛む行動はコミュニケーションの一つでもあるため、その背景にある気持ちを読み取りながらアプローチしていくことが大切です。
犬も猫も、以下のステップで噛み癖を減らすトレーニングをしてみましょう。
ステップ1:噛む理由を見極める(恐怖・遊び・要求・痛みなど)
ステップ2:噛む状況を減らすよう環境を整える
ステップ3:噛んでよい対象を与える(おもちゃ・知育グッズなど)
ステップ4:興奮したら静かに距離を取り、落ち着かせる
ステップ5:望ましい行動を褒めて習慣化する
<犬の場合>
犬の噛み癖は、興奮しやすい性格やコミュニケーション不足が背景にあることも多いため、日常の中で適度な刺激と学習機会を与えることが大切です。
・手で直接遊ばない習慣をつける
・ガムや知育玩具で噛む欲求を満たす
・「おすわり」「まて」などの基本トレーニングで興奮をコントロールする
<猫の場合>
猫は本能的に「狩り」を好む動物で、過度なスキンシップよりも遊びや刺激を求める傾向があります。
そのため、噛み癖の背景にはストレスやエネルギーの発散不足が隠れていることも少なくありません。
・狩猟本能を満たす遊び(じゃらし・動くおもちゃ)を取り入れる
・撫でる時間は短く、小まめに区切る
・噛む前のサイン(しっぽを振る・耳が横向き)に気づき、早めにやめる
無理に我慢させず、「噛みたい」「遊びたい」気持ちを安全な方法で満たしてあげることがポイントです。
それでも噛み癖が続く場合は?受診・相談の目安
しつけを頑張ってもなかなか改善しない場合、体の異常が隠れていることもあります。
歯や歯茎の炎症、口内炎、神経疾患、ホルモンの異常などが原因で痛みを感じ、触られるのを嫌がるケースもあります。
また、強い恐怖や過去のトラウマが影響している場合や、攻撃行動がエスカレートしている場合は、専門的なサポートが必要です。
動物病院では、行動診療という分野で「行動の原因を科学的に分析し、心と体の両面から改善を目指す」アプローチを行うこともあります。
特に以下のような場合は、早めに相談しましょう。
・子犬や子猫の社会化に不安がある
・人への攻撃性が強い
・保護犬・保護猫で過去の経験が分からない
一人で悩まず、まずは獣医師や行動診療の専門家に相談することで、解決の糸口が見えてくることがあります。
まとめ|諦めないで向き合えば噛み癖は改善できる
犬や猫が噛むのは、「怖い」「痛い」「かまってほしい」といった気持ちのサインです。
原因を理解し、環境を整え、望ましい行動を積み重ねていけば、少しずつ改善していくケースが多くあります。
「性格だから仕方ない」と諦めたり、「しつけ方が悪かったかな」と抱え込んだりせず、一緒に向き合っていきましょう。
動物たちの気持ちに寄り添いながら、より良い関係を築けるようお手伝いいたします。
■関連する記事はこちらです
・犬の無駄吠えの理由や対策方法について
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