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犬猫のよだれが多いのは異常?正常の目安や受診の見極めポイント

倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。

岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。

 

犬や猫の口元がいつもより濡れていたり、床にポタポタとよだれが垂れていたりすると、「これって異常?」「病気なのかな?」と心配になるものです。

 

よだれ(唾液)は健康な状態でも分泌されていますが、その量や質が変化したときは、体からのサインであることもあります。

 

この記事では、犬猫のよだれについて、正常/異常の見分け方や受診の目安についてわかりやすく解説します。

 

犬の口から透明なよだれが垂れている写真

■目次

1.犬・猫のよだれはどこまでが正常?
2.犬種・猫種や性格による「よだれの個体差」
3.「よだれが多いかも」と思ったときの判断ポイント
4.応急的に確認できるセルフチェック(受診の目安)
5.よだれが異常に増える主な原因
6.まとめ|「異常なよだれ」は体からのSOS!判断に迷ったら相談を

 

犬・猫のよだれはどこまでが正常?


犬・猫のよだれ(唾液)には消化を助ける酵素や、口腔内を清潔に保つ成分が含まれています。口の中を保湿し、細菌の増殖を抑える働きもあるため、ある程度の量のよだれは正常なことです。

 

犬の場合、食事を前にして興奮したときや、美味しそうなにおいを嗅いだときなどにもよだれが増えます。

また、猫でもリラックスして喉を鳴らしているときに、少量のよだれが出ることがあります。

このような場面でのよだれは「生理的反応」であり、病気ではありません。

 

犬種・猫種や性格による「よだれの個体差」


よだれの量は、体のつくりや性格によっても違いがあります。

たとえば短頭種(ブルドッグ、パグ、ペルシャ猫など)は、口周りの構造上よだれが多くなりがちです。口唇が深く、唾液が口の外に流れやすいことが理由です。

 

また、緊張や不安、車酔い、動物病院でのストレスなども一時的によだれを増やす要因になります。

性格的に怖がりな犬や猫では、診察台に乗っただけで唾液が増えることもあります。

 

このように「生理的によだれが多いケース」もあるため、まずは状況を見極めることが大切です。

 

「よだれが多いかも」と思ったときの判断ポイント


【注意が必要なよだれの量・状態の図解】左:(犬)床に垂れるほどのよだれの量、タオルで拭いても追いつかない/右:(猫)胸元の毛までよだれが垂れて濡れてしまっている

よだれの異常を判断する際に、いちばん大切なのは「いつもと比べてどうか」という点です。

以下のような変化が見られる場合は、注意が必要です。

 

・床に垂れるほど量が増えている

・タオルで何度も拭かないと追いつかない

・顎や胸の毛が濡れるほど垂れている

・よだれが糸を引くようにねばついている

 

また、においや色の変化にも注目しましょう。透明な唾液が白く泡立ってきたり、酸っぱいにおいが強くなったりする場合は、炎症や消化器系の不調が関係していることがあります。

 

応急的に確認できるセルフチェック(受診の目安)


以下は動物病院に相談・受診すべき際に確認したいチェックポイントです。

 

✓ 食欲は普段どおりあるか

✓ 元気がなく、動きたがらない様子はないか

✓ 嘔吐や吐き気を伴っていないか

✓ よだれが半日以上続いていないか

✓ ストレスや緊張による一時的な変化ではないか

✓ 口を痛がり、触られるのを嫌がらないか

✓ 歯茎や舌の色が普段どおりか(白・紫・黄は要注意)

✓ 口臭が急に強くなっていないか

✓ よだれに血が混ざる、異臭がするなどの異変はないか

✓ 顎や胸元の被毛が濡れており、皮膚炎を起こしていないか

 

特に、半日以上よだれが続く場合や、食欲の低下・痛みのしぐさを伴う場合は、重い病気が隠れている可能性があるためできるだけ早めの受診をおすすめします。

【このような症状があれば動物病院へ行くべきシーン】右上:元気がない犬の様子/下:口回りや歯を気にする犬と猫の様子

 

よだれが異常に増える主な原因


よだれは口のトラブルだけでなく、内臓の不調や中毒などでも増えることがあります。

また犬と猫で多い原因には傾向の違いもあります。

 

原因によって対処法が異なるため、「どのような背景で増えているのか」を見極めることが大切です。

 

<口のトラブル>

よだれが増える原因として最も多いのが口腔内の異常です。

 

・歯周病や口内炎による痛み・炎症

・歯のぐらつきや欠け

・骨・木片・紐などの異物が挟まっている

・口の中の腫瘍(できもの)

 

これらは痛みや不快感から唾液が過剰に分泌されたり、飲み込めなくなったりすることでよだれが増えます。見た目でわかりにくいケースもあるため、無理に口を開けず、動物病院での確認が安全です。

 

犬は硬いおもちゃやボールで歯を傷つけた後に発生しやすく、猫は慢性の口内炎が原因になることが多くあります。

 

🔽口内炎についてはこちらで解説しています

 

<内臓疾患・全身状態によるもの>

体の内部の異常でも、吐き気や体調不良に伴ってよだれが増えることがあります。

 

・消化器の不調(胃炎・膵炎・食べすぎ・異物誤飲)

・中毒(チョコレート、タマネギ、ユリ、薬剤 など)

・熱中症(体温上昇とパンティングによる唾液増加)

・神経疾患(うまく飲み込めず唾液をこぼす)

 

猫では腎臓病の進行により口内炎や吐き気を伴ってよだれが増えることがあり、注意が必要です。犬では車酔いや不安・ストレスでも一時的に増えることがあります。

 

🔽猫の腎臓病についてはこちらで解説しています

 

まとめ|「異常なよだれ」は体からのSOS!判断に迷ったら相談を


よだれは健康のバロメーターのひとつです。

生理的なものも多くありますが、量やにおい、性状が変化したときには体の異変が隠れていることがあります。

「いつもより多い」「食欲がない」「口を痛がる」といったサインが見られたら、早めに動物病院へ相談しましょう。

診察では、口腔内のチェックや血液検査、画像検査などを組み合わせて原因を調べます。
早期に対応することで、治療の選択肢も広がります。
「よだれのことでも相談しても良いのかな?」と迷わず、いつでもお気軽にご相談ください。かかりつけ医として日々の愛犬・愛猫たちの健康をサポートいたします!

 

■関連する記事はこちらです
犬や猫の歯周病について

 

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