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犬や猫の車酔いを防ぐには?移動時の注意点と動物病院からのアドバイス

倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。

岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。

 

「お出かけのたびに、愛犬が吐いてしまう…」「車に乗ると落ち着かず、そわそわするのが心配…」このように、犬や猫の車酔いで困っている飼い主様は少なくありません。

 

実は、動物にとって「移動」は私たち人間以上にストレスのかかる行動です。特に車の振動や音、においなどの刺激が重なることで、乗り物酔いを起こしてしまうことがあります。

 

愛犬・愛猫が車酔いしやすい子なのか、もしそうならどんな工夫ができるのか。まずは原因や症状を知ることが第一歩です。

 

今回は、車酔いの原因や予防策、症状が強いときの対応などについて解説します。

■目次
1.犬猫の車酔いとは?|原因と起こりやすいタイミング
2.こんな症状が出たら要注意|車酔いのサイン
3.移動前にできる車酔い予防|お出かけ準備の工夫
4.車内での過ごし方|快適で安全な移動環境づくり
5.症状が強い場合は動物病院へ相談を
6.まとめ

 

犬猫の車酔いとは?|原因と起こりやすいタイミング


車酔いとは、車の揺れやにおいによって三半規管が刺激されたり、不安によるストレスが高まったりすることで、体に不調が現れる状態を指します。

 

人と同様に、犬や猫の三半規管も刺激に弱いことがあり、特に以下のような子は酔いやすい傾向があります。

 

・初めての車移動で慣れていない

・子犬・子猫などでまだ三半規管が未発達

・環境の変化に敏感な子(たとえば、初めての場所や音に驚きやすい子)

 

また、移動前にフードを多く食べていた場合や、そもそも車に乗ること自体に強い緊張を感じる子も、車酔いしやすい傾向があります。

 

こんな症状が出たら要注意|車酔いのサイン


犬の車酔いのサインを示すイラスト。よだれが多く出る、落ち着きがなくなる、鳴き続ける、呼吸が早くなる、嘔吐してしまう様子が描かれている。

車酔いは、見た目にもわかるサインを示すことがあります。以下のような様子が見られたら、無理に移動を続けるのは避けましょう。

 

よだれがたくさん出る

落ち着きがなくなる

鳴き続ける

呼吸が早くなる

嘔吐してしまう

 

症状が出る頻度や程度は個体差があります。最初は軽い症状だったとしても、繰り返すうちに「車=怖いもの」と覚えてしまう子もいるため、早めの対策が大切です。

 

移動前にできる車酔い予防|お出かけ準備の工夫


車に乗る前のちょっとした準備で、車酔いの予防につながります。

 

食事のタイミングを工夫する

移動の2〜3時間前までに食事を済ませておくと、胃が落ち着いた状態になり、嘔吐しにくくなります。空腹すぎても胃酸が出て気持ち悪くなる子もいるため、軽めに食べさせるのが理想です。

 

慣らしの練習を取り入れる

いきなり長時間のドライブではなく、最初は数分間の短い距離からスタートし、徐々に車に慣らしていきましょう。移動のあとに、公園で遊ぶ・おやつをもらうなどの「楽しい経験」をセットにすると、良いイメージがつきやすく効果的です。

 

安心できる空間をつくる

キャリーやクレートは、犬や猫が安心できる「自分の場所」になります。普段から慣れさせておくと、車内でも落ち着きやすくなります。

使い慣れたブランケットやおもちゃを入れておくのもおすすめです。

 

車内での過ごし方|快適で安全な移動環境づくり


車に乗ってからの過ごし方も、車酔いの予防にはとても重要です。安全性を確保しつつ、犬や猫が落ち着いて過ごせる環境を整えてあげましょう。

 

安全を確保する

犬や猫が車内で自由に動き回ると、事故やけがのリスクが高まります。キャリーやクレートに入れてしっかり固定するか、犬であればシートベルト対応のハーネスを使うなどして、安全なスペースを作ってあげましょう。急ブレーキの際にも飛ばされず、安心です。

 

車内の温度管理に気を配る

犬や猫は暑さに弱いため、エアコンで25℃前後を保つようにしましょう。直射日光が当たる場所は避け、ブラインドやタオルで日差しを遮るのも効果的です。

 

特に車内は高温になりやすく、窓を閉め切った状態では犬や猫の体温が急上昇し、熱中症になることがあります。車内に放置することは絶対に避けましょう。

犬と猫の熱中症についてはこちら

 

換気を意識する

車内の空気がこもると、においや二酸化炭素の影響で気分が悪くなることがあります。窓を少しだけ開けておく、または外気モードにして換気を行うと、快適な環境を保ちやすくなります。

 

やさしい声かけで安心感を

移動中、飼い主様の存在を感じることは、犬や猫にとって大きな安心材料になります。ときどきやさしく声をかけてあげるだけで、緊張がやわらぐ子もいます。特に不安が強い子には、そっと名前を呼び、普段通りのトーンで話しかけるとよいでしょう。

 

キャリーの中を快適に

キャリーやクレートの中に、使い慣れた毛布やにおいのついたおもちゃを入れると、安心感が増します。

また、滑りにくいマットを敷いてあげると、揺れによるストレスも軽減されます。

 

途中で休憩をとる

1時間以上の長時間移動では、30分〜1時間ごとに休憩を入れるのがおすすめです。静かな場所に車を停めて、車内で落ち着かせてあげるだけでも、気分転換になります。

犬であれば短時間のトイレ散歩もよいリフレッシュになります。

 

症状が強い場合は動物病院へ相談を


上記の工夫をしても嘔吐が続く、移動前から不安で震えてしまうなどの場合は、一度動物病院にご相談ください。

 

車酔いがひどい子には、酔い止め薬を処方することも可能です。薬の種類や量は体格や健康状態によって調整が必要なため、自己判断での使用は避け、獣医師と相談のうえで進めましょう。

 

まとめ


犬や猫にとっての車酔いは、決してめずらしいことではありません。原因や症状を知り、移動前の準備や車内の環境づくりを工夫することで、体への負担を減らしてあげることができます。

 

それでも症状が強く現れる場合には、無理をせず動物病院に相談することが大切です。

 

大好きな家族とのお出かけがつらい経験にならないように、私たち倉敷動物愛護病院では、一頭一頭の性格や体質に合わせて、やさしく丁寧にアドバイスを行っています。「車酔いで困っている」「移動が不安」と感じたときには、どうぞ気軽にご相談ください。愛犬・愛猫と安心して過ごせる時間を、一緒に考えていきましょう。

 

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