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獣医師コラム
犬や猫の歯磨きガイド|初めてでも簡単!正しいケア方法
倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。
岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。
愛犬や愛猫の健康を守るうえで、歯のケアは欠かせません。特に、犬や猫によく見られる歯周病は、口の中に残った食べかすが原因で細菌が繁殖することで発生するため、毎日の歯磨きが歯周病予防にとても効果的です。
しかし、口の周りに触られるのが苦手な犬や猫も多く、「歯磨きは難しそう」「うちの子は嫌がる」と感じる飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、犬と猫の歯磨きについて、正しいケア方法や歯磨きに慣れさせるためのトレーニングの進め方を詳しく解説します。
■目次
1.歯磨きとケアの重要性について
2.歯磨きの基本と道具選び
3.正しい歯磨きの方法
4.はじめての歯磨きトレーニング
5.日常的なデンタルケア用品の活用
6.困ったときの対処法
7.まとめ
歯磨きとケアの重要性について
犬や猫の口腔内の健康は、全身の健康に深く関わっています。そのため、日々の歯磨きを通じて、口腔環境を清潔に保つことがとても大切です。
犬や猫にとって、歯石の原因は人間と同じく、食後の口内に残る食べかすです。これが歯垢となり、時間が経つと硬い歯石へと変わります。歯石がつくと歯周病のリスクが高まり、最終的には歯を失う可能性もあるため、歯磨きによって歯垢を取り除くことが予防の基本です。
また、犬や猫の場合、歯垢が歯石へと変化するまでの期間はおよそ2〜3日といわれています。そのため、理想的には毎食後の歯磨きが望ましいですが、毎回は難しい場合でも最低でも2〜3日に1回は歯磨きを行いましょう。
ただし、どれだけ丁寧に歯磨きをしても、磨き残しが出ることは避けられません。
以下のような症状が見られた場合、口腔ケアの見直しや、動物病院を受診しましょう。
・口臭が気になる
・歯に茶色や黄色の汚れ(歯石)が付着している
・歯肉が赤く腫れている
・食べこぼしが増えた
・硬いものを食べなくなった
・よだれの量が増えた
歯磨きの基本と道具選び
愛犬や愛猫の歯磨きを正しく行うためには、適切な道具を使用することが大切です。ここでは、必要な道具と選び方について詳しくご紹介します。
<歯ブラシ>
犬猫用の歯ブラシはさまざまな形状があり、用途や状況に応じて選ぶことができます。
・トレーニング中や歯ブラシが苦手な場合
指に装着できる指サック型の歯ブラシがおすすめです。歯ブラシを嫌がる場合にも、指サック型なら比較的慣れやすいでしょう。
・歯磨きに慣れている場合
普通の歯ブラシ型を使用しましょう。特に、両端に異なるブラシがついている両頭型は、角度をあまり気にせず磨けるため、短時間で効率的にケアできます。
<歯磨き粉>
人間用の歯磨き粉は、犬や猫にとって有害な成分(キシリトールなど)が含まれている場合があるため、必ず犬猫用を選んでください。
・歯磨きに慣れていない場合
パウダータイプやジェルタイプが扱いやすいです。
・歯磨きに慣れてきた場合
ペーストタイプに切り替えると、よりしっかりとケアできます。また、慣れていない場合には、好みのフレーバーがあるものを選ぶとスムーズに進むことがあります。
<その他のデンタルグッズ>
歯ブラシが難しい場合や、口に触れること自体が難しい場合には、以下のような代替アイテムも活用できます。
・デンタルワイプ
指は口の中に入れられるけれど歯ブラシを使うのは難しい場合、デンタルワイプがおすすめです。ガーゼ状のシートで、歯を拭くだけでケアができます。
・マウスウォッシュ
口の中に触れられない場合は、飲み水に混ぜるタイプのマウスウォッシュを利用してみましょう。
無理に歯磨きをしようとすると、歯磨きそのものを嫌がる原因になってしまいます。愛犬や愛猫に合った道具を選び、少しずつ慣れさせながらケアを進めていきましょう。
正しい歯磨きの方法
道具が揃ったら、いよいよ愛犬や愛猫の歯磨きを始めましょう。以下では、歯磨きをスムーズに進めるための基本的な手順を詳しく解説します。
<前歯と犬歯の磨き方>
片手で鼻を上から包むように持ち、親指で軽く上唇を持ち上げます。このとき、犬歯の根元が見えるまでしっかり唇をめくりましょう。
【磨き方】
・歯ブラシは鉛筆を持つように軽く握ります。力を入れすぎないことがポイントです。
・歯ブラシを歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、細かく前後に動かしながら1本ずつ丁寧に磨いていきます。
・同じ手順で反対側の犬歯や前歯も磨きます。前歯を磨く際は、親指と人差し指を使って唇をしっかり持ち上げましょう。
<奥歯の磨き方>
親指を口の中に入れ、口角が上がるように上唇をぐっと引っ張ります。奥歯が見える状態にしましょう。
【磨き方】
歯ブラシを歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、細かく前後に動かしながら奥歯を磨きます。
< 歯の裏側の磨き方>
歯の裏側を磨くときは、軽く口を開けさせると磨きやすくなります。嫌がる場合は、上下の歯の隙間から歯ブラシを差し込んで磨く方法も試してみてください。
【磨き方】
前歯と奥歯の裏側を、表側と同じ順番で丁寧に磨いていきます。
<磨く際のポイント>
・時間は短く
犬や猫は歯磨きが苦手なため、所要時間は1分程度で十分です。最初は全てを磨くのが難しい場合も、少しずつ慣れさせることを優先しましょう。
・力加減に注意
力を入れすぎると歯ぐきを傷つけ、痛みを感じさせてしまいます。桃の皮を傷つけない程度の優しい力で磨くように心がけてください。
・ポジティブな体験にする
歯磨き後にご褒美や優しい声掛けを行い、ポジティブな印象を持たせることで、次回の歯磨きがスムーズになります。
はじめての歯磨きトレーニング
ここまで歯磨きの具体的な方法をご紹介しましたが、多くの犬や猫は口周りに触られるのを苦手とするため、いきなり歯磨きを始めるのは難しい場合があります。
そのため、以下のように少しずつ段階を踏みながら歯磨きに慣れさせることが大切です。
Step1:触れることに慣れさせる
まずは、口の周りに触られることから慣れさせましょう。
優しく頬やあごをなでることから始め、リラックスさせてあげます。慣れてきたら鼻や口の周りに触る時間を少しずつ延ばしていきましょう。
次に、上唇や下唇を軽くめくる練習を行います。
唇をめくることに問題がなくなったら、指をそっと口の中に入れてみます。最初は短時間で構いません。歯の表面に触れるだけで十分です。
Step2:歯ブラシに慣れさせる
口の中に指を入れることに慣れたら、次は歯ブラシを使うステップに進みます。
デンタルワイプや指サック型の歯ブラシを使って、前歯や犬歯の表面を軽くこすってみましょう。この段階では「磨く」よりも「触れる」ことを目標にします。
慣れてきたら犬猫用の歯磨き粉を少量つけ、歯ブラシを歯に当ててみます。嫌がらなければ、歯ブラシを前後に少し動かしてみてください。
Step3:実際の歯磨き練習
歯ブラシに抵抗がなくなったら、いよいよ歯磨きを始めます。
最初は1回のトレーニングで1本ずつを目標にします。無理をせず、短時間で終わらせることが大切です。
前歯や犬歯が磨けるようになったら奥歯へ、奥歯が磨けるようになったら歯の裏側へと、徐々に範囲を広げていきましょう。
<トレーニングのポイント>
・無理をしない
嫌がったら無理に続けず、その日のトレーニングは中断しましょう。徐々に慣らすことが重要です。
・ご褒美を活用する
トレーニング後に歯磨き効果のあるトリーツやガムを与えると、歯磨きをポジティブな印象として覚えてくれます。
少しずつ練習を重ねることで、愛犬や愛猫も歯磨きに慣れていきます。焦らず、楽しく進めていきましょう。
日常的なデンタルケア用品の活用
歯の健康を守るためには歯磨きだけではなく、さまざまなデンタルケア用品を日常的に活用するのも効果的です。
特に、歯磨きが難しい愛犬や愛猫にも取り入れやすい方法をご紹介します。
・デンタルサプリメント
飲み水やフードに混ぜるだけで、口腔内の環境を整えるサプリメントは便利で簡単に使用できます。
・デンタルガム
噛むことで歯垢を落とす効果が期待できるデンタルガムは、犬や猫にとっておやつ感覚で楽しめる便利なアイテムです。
・デンタルトイ
遊びながらデンタルケアができるおもちゃもおすすめです。
噛むことで歯垢を除去しやすい素材や形状のものが多いため、歯磨きが苦手な犬や猫にも無理なく取り入れられます。
困ったときの対処法
犬や猫は歯磨きの理由を理解することが難しく、嫌がったり暴れたりしてしまう場合も少なくありません。そんなときは、無理に歯磨きをしようとせず、デンタルケア用品を活用して歯磨き以外の方法でケアを行いましょう。
また、「歯磨きは楽しいこと」と感じてもらうことも大切です。おやつなどのご褒美を上手に使いながら、焦らずゆっくりとトレーニングを進めていきましょう。
まとめ
愛犬や愛猫の健康を守るためには、日々の歯磨きを通じてお口の健康を維持することが欠かせません。しかし、犬や猫にとって口周りに触られるのは本能的に苦手なことでもあります。そのため、歯磨きを楽しいことや嬉しいことと結びつけながら、焦らずゆっくりとトレーニングを進めることが大切です。
歯磨きの方法やトレーニングの進め方で困ったことがあれば、いつでも当院にご相談ください。歯の健康を守る習慣作りを一緒にサポートしていきましょう。
岡山県倉敷市にある「倉敷動物愛護病院」
ペットと飼い主様にとって最善の診療を行うことを心がけております。
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