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犬や猫の目やに、放っておいて大丈夫?|正常との違いと家庭でできる目のお手入れ

倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。

岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。

 

愛犬や愛猫の目に目やにがついているのを見て、「ただの汚れかな?」「病院に行くほどではないかな?」と迷われたことはありませんか?

 

実は、目やには目の健康や体調の変化を知らせるサインのひとつです。ちょっとしたことのように思えても、放っておくと症状が悪化することもあります。

だからこそ、日頃から目の状態をよく観察し、目やにの変化に気づいてあげること、そして正しいケアを行うことがとても大切です。

 

今回は、正常な目やにと異常な目やにの違い、日常的な目のお手入れ方法、病院を受診すべきケースを解説します。

■目次
1.犬や猫の目やにの正常と異常の違い|色や量で見分けるポイント
2.犬と猫では違う?|目やにが出やすい体質
3.目やにが多いときに疑うべき目の病気
4.目やにケア|自宅でできるお手入れと注意点
5.まとめ|日々の目のお手入れが健康を守る第一歩

 

犬や猫の目やにの正常と異常の違い|色や量で見分けるポイント


目やには、目の表面を保護するための涙の成分や、古くなった細胞などが混ざったものです。健康な状態でもある程度は分泌されるため、「目やにがある=病気」とは限りません

ただし、色・量・におい・出るタイミングなどによっては、体調不良や目のトラブルのサインである可能性もあります。

 

<正常な目やにの特徴>

・少量で、乾くと茶色〜灰色っぽくなる

朝に少し見られる程度で、日中はほとんど気にならない

両目ともに同じような状態で出ている

 

<異常が疑われる目やにのサイン>

・緑色や黄色など、濃い色で粘り気がある

においがある、または血が混じっている

片方の目だけに出ている

目をしょぼしょぼさせる、こすろうとする、痛がるような仕草がある

・目が赤く充血している

・目やにが数日以上続いている

 

こうした変化があるときは自己判断で様子を見るのではなく、できるだけ早めに動物病院で診てもらうことが大切です。

 

犬と猫では違う?|目やにが出やすい体質


犬や猫の目の特徴を示したイラスト。パグやチワワのように目が出ている犬種、ペルシャ猫のように涙が溜まりやすい猫種が描かれている。

目やにの量や出やすさには、体質や品種、年齢の違いが大きく関係しています。それぞれの特徴を知っておくことで、日頃のケアや異常の早期発見にもつながります。

 

<犬の場合>

犬では、以下のような特徴を持つ場合に目やにが出やすい傾向があります。

 

短頭種(シーズー、パグ、フレンチブルドッグなど)

目がやや突出しているため、乾燥やほこりなどの異物による刺激を受けやすく、目やにがたまりやすくなります。

 

小型犬全般

涙を鼻へ流す「鼻涙管(びるいかん)」が細く、詰まりやすいため、涙や目やにがたまりやすい傾向があります。目の下がいつも濡れていたり、赤茶色に変色していたりする場合は、涙やけのサインかもしれません。

 

<猫の場合>

猫は犬に比べて目のトラブルが少ない印象がありますが、注意が必要なケースもあります。

 

風邪(猫ウイルス性鼻気管炎など)による結膜炎

一見元気そうでも、風邪の症状のひとつとして目やにが急に増えることがあります。くしゃみや鼻水を伴う場合は、早めの受診をおすすめします。

 

猫風邪についてはこちらで解説しています

 

短頭種(ペルシャ、エキゾチックショートヘアなど)

涙の排出がうまくいかず、目の周りが常に湿っている状態になりやすいため、こまめなケアが必要です。

 

高齢の猫

年齢とともに涙の分泌が減ることで目が乾きやすくなり、粘り気のある目やにが出やすくなる傾向があります。

 

それぞれの特徴に合わせて、日常的に目の状態を観察し、必要に応じたお手入れを行うことが大切です。

 

目やにが多いときに疑うべき目の病気


目やにの量が増えたり、色や性状に変化が見られたりする場合には、目のトラブルが隠れていることがあります。以下のような病気が関係している可能性があるため、注意が必要です。

 

結膜炎

まぶたの裏側にある「結膜」に炎症が起こり、充血や目やにの増加が見られます。細菌やウイルス、アレルギーなどが原因となることがあります。

 

角膜炎

目の表面(角膜)が傷ついた状態で、まばたきが増えたり、目を気にしてこすろうとしたりする仕草が見られます。強い痛みを伴うこともあります。

 

乾性角結膜炎(ドライアイ)

涙の分泌量が不足し、目が乾燥して粘ついた目やにが出やすくなります。慢性的になると角膜に傷がつく恐れもあります。

 

流涙症(涙やけ)

涙の排出がうまくいかず、常に目の下が濡れている状態になります。目やにや赤茶色の着色(涙やけ)が見られることもあります。

 

これらの症状は、細菌やウイルス感染、アレルギー、異物の混入、まつげの異常などがきっかけで起こることがあります。

放置すると症状が悪化したり、慢性化したりすることがあるため、早めの対応が大切です。

 

目やにケア|自宅でできるお手入れと注意点


犬や猫の目やにケア方法を説明したイラスト。湿らせたコットンで目頭から目尻に向かって拭き取る様子、目の周りの被毛をカットする場面、アルコール入りウェットティッシュを避ける注意点などが描かれている。

愛犬や愛猫の目の健康を保つためには、日頃からのちょっとしたケアがとても大切です。目のまわりを清潔に保つことで、目やにのトラブルや感染の予防にもつながります。

 

<ケアのポイント>

湿らせたコットンやガーゼで、目頭から目尻に向かってやさしく拭き取る

一方向にやさしくなでるように拭くのがコツです。ゴシゴシこすらないよう注意しましょう。

 

目の周りの被毛が長い場合は、刺激にならないよう清潔に保つ

毛に目やにが絡まると炎症の原因になることもあります。必要に応じてトリミングを行うと安心です。

 

刺激の強いウェットティッシュは使わない

アルコールや香料が含まれているものは、目の周囲の皮膚に刺激を与えてしまう恐れがあります。

 

また、目やにの状態を毎日観察することも大切なケアのひとつです。

「いつもより量が多い」「色が違う」「片目だけに出ている」など、小さな変化に早く気づくことが、早期の対応につながります。

 

まとめ|日々の目のお手入れが健康を守る第一歩


目やには、愛犬や愛猫が自分では伝えられない体調や目の不調を知らせるサインです。

たとえ少量でも、「いつもと違うかも」と感じたときは、見過ごさずに様子をよく観察してあげましょう。

 

また、日常的なお手入れを通して目の状態をこまめにチェックすることで、小さな変化にも気づきやすくなり、早めの対応や予防につながります。

「この目やに、大丈夫かな?」「目の赤みが気になる」など、少しでも気になることがあれば、お気軽に当院までご相談ください。

愛犬や愛猫の目の健康を、一緒に守っていきましょう。

 

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