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犬と猫の食物アレルギーについて|正しい検査と食事選びで体調管理をサポート

倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。

岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。

 

かゆみや皮膚の赤み、消化不良、耳のトラブルなどの症状は、食物アレルギーが関係していることが少なくありません。

 

ただし、こうした症状はアレルギー以外の病気でも見られるため、見た目だけでは原因を特定するのが難しい場合があります。

そのため、正確な診断と、医学的根拠に基づいた適切な対処がとても大切です。

 

今回は、「食物アレルギーとは何か?」「どのように検査すればいいのか?」「どんな食事を選べば安心なのか?」といった疑問について解説します。

■目次
1.食物アレルギーとは?犬や猫で多く見られる症状と仕組み
2.アレルギー検査の重要性|高価でも「正確さ」と「将来の安心」に意味がある
3.食事管理の基本|正しいステップで安全に除去食を実施
4.当院でできること|検査から食事管理まで一貫してサポート
5.まとめ|高品質な検査と管理で、犬や猫の健やかな毎日を

 

食物アレルギーとは?犬や猫で多く見られる症状と仕組み


犬や猫の「かゆみ」の原因には、ノミ、ダニ、細菌、真菌(カビの一種)など、さまざまな要因がありますが、その中の代表的なものの一つが「食物アレルギー」です。

 

アレルギーとは、本来は無害なはずの物質に対して、免疫システムが過剰に反応してしまう状態を指します。

食物アレルギーの場合は、体に合わない「タンパク質」が原因になることが多く見られます。

 

このタンパク質は、主に以下のような分類に分けられます。

 

肉類(鶏肉、牛肉、羊肉など)

魚類(サーモン、マグロ、白身魚など)

穀物(小麦、とうもろこし、大豆など)

 

これらの中で犬や猫の体に合わないものを食べると、免疫システムが「異物」と判断し、過剰に反応してしまいます。

その結果、次のようなアレルギー症状が現れることがあります。

 

慢性的な皮膚トラブル(かゆみ、赤み、脱毛、湿疹 など)

繰り返す外耳炎(耳をかゆがる、頭を振る など)

消化器の異常(下痢、軟便、嘔吐 など)

 

こうした症状の現れ方や程度には個体差があり、軽い違和感程度の犬や猫もいれば、日常生活に支障が出るほど症状が重くなるケースもあります。

 

アレルギー検査の重要性|高価でも「正確さ」と「将来の安心」に意味がある


犬と猫の食物アレルギー検査の相談風景。獣医師がアレルギーテストの結果を飼い主に説明し、犬と猫がそばにいる。

「アレルギーかもしれないけれど、何をやめればいいのか分からない」

そんなとき、はっきりした原因がわからないまま、自己判断でフードを次々に変えてしまうと、飼い主様にとっても、愛犬・愛猫にとっても大きな負担になってしまいます。

 

こうした状況を避けるためには、食物アレルギー検査を活用して、原因を正確に特定することがとても大切です。

 

検査では、肉類・魚類・穀物など、さまざまなタンパク質に対する体の反応を評価できます。

たとえば、「牛肉と小麦には反応があるけれど、鶏肉やお米は問題ない」といった細かい結果が得られるため、不必要な除去食や過剰な食事制限を避けることが可能になります。

 

もちろん、アレルギー検査は決して安価ではありませんが、検査を受けることで次のようなメリットがあります。

 

・無意味なフードの変更を繰り返す必要がなくなる

・試行錯誤にかかるフード代や治療費を抑えられる

・愛犬・愛猫の不快感やかゆみなどの苦痛を、早く和らげることができる

 

こうした点から見ても、検査は「高価であっても意味のある選択」といえるでしょう。

 

また、血液検査に加えて、除去食試験(一定期間、特定の成分を除いたフードだけを与え、症状の変化を観察する方法)を組み合わせることで、より正確な診断が可能になります。

 

当院では、それぞれの犬や猫の体質や症状に合わせた検査プランをご案内し、結果をふまえて最適な食事選びを丁寧にサポートしています。

 

食事管理の基本|正しいステップで安全に除去食を実施


食物アレルギーと診断されたあとに最も重要となるのが、「除去食(じょきょしょく)による食事管理」です。

ただし、自己流で進めてしまうとうまくいかないことも多く、獣医師の指導のもとで安全に行うことが大切です。

 

まず大前提として、検査結果に基づき「除去すべきタンパク質」を明確にすることがスタートラインとなります。

そのうえで、以下のような流れで食事管理を進めていきます。

犬と猫の除去食試験を説明する3ステップのイラスト。①食事の切り替え、②経過観察、③安全な食材の選別でアレルギー源を特定する流れを示す。

①除去食の開始

検査で反応が出たアレルゲン(原因となるタンパク質)を一切含まないフードに切り替えます。

 

②経過観察(4〜8週間)

症状が改善するかをしっかり観察します。この期間はおやつやトッピングも控え、フードのみで管理することが重要です。

 

③安全な食材の選別

症状の改善が見られた場合、少しずつ別の食材を試しながら、どれが安全かを見極めていきます。

 

このようなステップを踏むことで、愛犬・愛猫が安心して食べられる食材を見つけていくことができます。

 

市販のアレルギー対応フードも便利ですが、中には原材料に“隠れタンパク”が含まれている場合もあるため、フードの選定には細心の注意が必要です。

また、完全な除去が難しい場合や複数のアレルゲンが関わっている場合には、療法食の併用や、必要に応じて手作り食の指導を行うこともあります。

 

さらに、アレルギーが原因で悪化した皮膚炎や外耳炎などの症状がある場合には、内服薬や外用薬を併用しながら症状を和らげる治療も取り入れます。

 

当院でできること|検査から食事管理まで一貫してサポート


当院では、愛犬・愛猫のアレルギー対策について、検査から食事管理、日常のケアに至るまで一貫したサポートを行っています。

 

検査の種類と流れ

まずは、愛犬・愛猫の体質に合った検査方法を選び、アレルゲンの特定を目指します。

 

血液検査:アレルゲンに対する抗体の量を調べることで、体の反応を評価します。

除去食試験:特定のタンパク質を除いたフードのみを与え、症状の改善を観察します。飼い主様と連携しながら丁寧に進めていきます。

 

フード選びのサポート

検査結果や症状の状態に応じて、愛犬・愛猫の体質に合ったフード選びを丁寧にサポートいたします。

療法食の中から、アレルゲンを含まず安心して与えられる商品をご案内し、毎日の食事が無理なく続けられるように配慮しています。

 

飼い主様の不安に寄り添う

アレルギー管理は、毎日の積み重ねが大切です。

当院では、以下のようなポイントも含め、飼い主様の不安に寄り添ったサポートを心がけています。

 

・除去食の進め方や、食事中に気をつけるべき観察ポイント

・皮膚や耳のケアといった日常的なお手入れ方法

・継続しやすく、無理のない管理プランのご提案

 

ストレスの少ないアレルギー対策を一緒に考えていきましょう。

 

まとめ|高品質な検査と管理で、犬や猫の健やかな毎日を


食物アレルギーは、かゆみや皮膚トラブル、消化器の不調など、日常のちょっとした変化として現れることがあります。

一見すると見逃しがちですが、正しい検査と食事管理を行うことで、症状を抑え、犬や猫の生活の質を大きく改善することができます。

 

アレルギー対策には時間と根気が必要ですが、原因がわかることで、これから先の健康管理がぐっとしやすくなります。

無理のない方法で続けていくためには、専門的な知識と飼い主様の観察力、そして信頼できるサポートが欠かせません。

 

「なんとなく不調が続いている」「フード選びに迷っている」と感じることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

私たちは、飼い主様と一緒に愛犬・愛猫の体と心の健康を守っていきたいと考えています。

 

岡山県倉敷市にある「倉敷動物愛護病院」
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