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獣医師コラム
犬と猫の関節トラブル|滑りやすい床や肥満が関節トラブルを引き起こす?
倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。
岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。
犬や猫も私たちと同じように、年齢を重ねるごとに体にさまざまな変化が現れます。その中でも、「関節のトラブル」は見落とされがちな問題ですが、実は生活の質(QOL)に大きく影響を与える重要な問題です。
関節の状態が悪くなると思うように動けなくなり、遊ぶことや散歩、日常の行動が難しくなることがあります。そのため、関節トラブルのサインを早い段階で見つけて、適切なケアを行うことが、愛犬や愛猫が元気で快適な毎日を送るためには大切です。
こうした関節のトラブルは、加齢だけでなく、普段の生活習慣や体型、さらには遺伝的な要因も深く関係しています。
今回は、犬や猫の関節を守るために知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。
■目次
1.関節トラブルとは?
2.関節トラブルの原因
3.早期発見のポイント
4.診断方法
5.治療とケア
6.関節トラブルを予防するための日頃のケア
7.まとめ
関節トラブルとは?
関節は、骨と骨がつながる部分で、体をスムーズに動かすための重要な役割を果たしています。関節には「軟骨」や「滑液(関節液)」と呼ばれる組織があり、これらがクッションのように機能して、骨同士が直接ぶつかるのを防ぎながら滑らかな動きを可能にしています。
しかし、加齢や日常的な負担の積み重ねによって、これらの組織が劣化することがあります。
特に体重の重い大型犬や肥満体型の犬や猫は、関節にかかる負担が増え、トラブルが起こりやすくなります。
一方で、小型犬や猫でも、遺伝的な体型や生活環境によって関節に問題が生じることがあります。
関節トラブルの原因
犬や猫が関節トラブルを抱える原因は、以下のようにさまざまな要因が関係しています。
<年齢による変化>
犬や猫が年齢を重ねると、関節のクッションである軟骨が徐々にすり減り、スムーズな動きを妨げるようになります。この状態が進行すると、関節炎や変形性関節症といった症状が現れることがあります。
若い頃には元気に走り回っていた犬や猫でも、シニア期に入ると動きが鈍くなり、散歩を嫌がる、ジャンプをためらう、といった行動の変化が見られることがあります。こうした兆候を単なる「年齢のせい」と考えず、早めの関節ケアを始めることが重要です。
<品種による違い>
犬や猫の中には、遺伝的要因により関節トラブルが起こりやすい品種が存在します。
・スコティッシュフォールド(たれ耳の子の場合)
たれ耳が特徴の猫ですが、「骨軟骨異形成症」という遺伝的疾患が見られる場合があります。遺伝による発症率が高いとされ、この疾患では関節の軟骨が正常に形成されず、痛みや関節の変形を引き起こします。
・大型犬
ゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーなどの大型犬は体重が重いため、関節にかかる負担が自然と増加し、関節トラブルが発生しやすい傾向にあります。
<関節に負担がかかりやすい生活習慣>
以下のような生活習慣や環境も関節トラブルのリスクを高める要因となります。
・高い場所からの頻繁な飛び降り:猫や小型犬に多い行動ですが、これが繰り返されると関節に大きな負担がかかります。
・肥満:体重が増えると、関節にかかる負担が何倍にもなります。
・滑りやすい床:フローリングの床は、滑って転びやすく、関節や筋肉への負担を増加させます。
・運動不足:筋肉は関節を支える重要な役割を果たしていますが、運動不足で筋力が低下すると、関節にかかる負担が増えてしまいます。
早期発見のポイント
関節トラブルは、初期段階での発見とケアがとても重要です。犬や猫の行動に以下のような変化が見られた場合、関節に問題がある可能性があります。
・歩き方がぎこちない
・遊びや散歩の時間が短くなる
・立ち上がりや座る動作に時間がかかる
・階段の上り下りを嫌がる
診断方法
愛犬や愛猫の関節の健康状態は、目に見える症状が出る前に発見できることが多く、定期的な健診が重要です。以下のような診断方法を用いることで、初期段階での異常を確認することが可能です。
・触診と可動域テスト
獣医師が関節を動かしながら、痛みや動きの制限を確認する方法です。このテストでは、炎症や腫れがないかを触診でチェックします。触診だけでなく、レントゲン検査と併用することで、より正確な診断が可能になります。
・レントゲン検査
レントゲン検査は、関節内部の状態を詳細に確認するための基本的な検査方法です。
軟骨のすり減り、骨の異常、関節の変形などを画像で正確に把握できます。
例えば、変形性関節症の初期段階では、明らかな症状が現れる前に関節の劣化が進行していることが多いです。このため、定期的な健診や適切な検査を受けることで、飼い主様が気づく前に異常を発見し、早期の対応が可能になります。
・超音波検査(エコー)
超音波検査は、軟骨や滑液(関節液)など、レントゲンでは確認しにくい軟部組織の異常を調べる際に活用されることがあります。
<年齢別の検査タイミング>
愛犬や愛猫の健康を守るためには、年齢に応じた検査のタイミングを意識することが大切です。特に関節疾患の早期発見には、定期的な検診が欠かせません。
・1歳~3歳(若年期)
この時期は健康診断を1年に1回実施しましょう。まだ関節疾患のリスクが低い時期ですが、病院や獣医師に慣れる機会を作ることで、成長後の健診がスムーズに進むようになります。
・4歳~7歳(中年期)
中年期に入ると、関節疾患のリスクが徐々に高まります。半年~1年に1回程度、定期的な検診を受け、関節の状態を確認しましょう。異常が見つかった場合は早めに対策を取ることができます。
・8歳以上(シニア期)
シニア期には関節疾患を含むさまざまな健康リスクが高まります。このため、最低でも半年に1回以上の検診を行い、関節の状態やその他の疾患の兆候を早期に発見することが重要です。
治療とケア
犬や猫の関節トラブルは、症状の進行度や年齢、生活環境に応じた適切な治療やケアが欠かせません。
<軽度の症状への対応>
関節の違和感が出始める初期段階では、まず日常生活を見直すことが大切です。
例えば、適正な体重を維持することや、関節をサポートする成分を含むフードを与えることで、関節への負担を減らし、症状の悪化を防ぐことが期待されます。
さらに、適度な運動を取り入れることも効果的ですが、無理のない範囲で行うように注意しましょう。
<中等度の症状に対する治療>
散歩を嫌がる、または動くたびに痛みを感じているような様子が見られる場合は、動物病院での診察が必要です。
この段階では、痛みを和らげるための消炎鎮痛剤や、関節の炎症を抑える薬が処方されることがあります。
また、サプリメントを併用することで、関節の健康をさらにサポートすることが可能です。
<重度の症状に対する治療>
歩行が困難になり、強い痛みが見られる場合には、外科的治療が選択肢となることがあります。代表的な治療法としては以下が挙げられます。
・関節形成術:関節の形状を整え、痛みの軽減や機能の回復を目指す手術です。
・人工関節の埋め込み:損傷した関節を人工関節で置き換える治療法で、関節機能を大きく改善できる場合があります。
外科的治療後は、リハビリや温熱治療などの理学療法を取り入れて、関節の機能を維持・改善することが重要になります。
関節トラブルを予防するための日頃のケア
関節の健康を保つためには、以下のような日常生活の中でのケアが欠かせません。
・適切な運動量
過剰な運動は関節を痛める原因になりますが、運動不足も筋力の低下を招き、関節の負担が増える結果につながります。
犬の場合は散歩の距離や時間を愛犬の体力や年齢に合わせて調整することが大切です。
一方で、猫の場合は室内でのおもちゃ遊びやキャットタワーを使った軽い運動を取り入れることで、適度に体を動かせる環境を整えましょう。
・体重管理
体重が増えると関節に余計な負荷がかかり、トラブルを引き起こすリスクが高まります。栄養バランスの取れたフードを適切な量を与え、定期的に体重を測ることで、健康な体型を維持しましょう。
・生活環境の整備
フローリングの床は滑りやすく、足腰に負担がかかる原因となるため、カーペットやマットを敷いて滑り止め対策をすることをおすすめします。
また、愛犬や愛猫が高いところに上がったり降りたりする際の負担を減らすために、ステップやスロープを設置すると良いでしょう。
・関節ケア用のフード
グルコサミンやコンドロイチンといった成分を含む関節ケア用のフードを選ぶことで、軟骨の保護や修復をサポートできます。
関節の健康を考えたフード選びについては、獣医師に相談して愛犬や愛猫に最適なものを見つけるのが良いでしょう。
・サプリメントの活用
サプリメントについても同様で、DHAやEPAを含むオメガ3脂肪酸などが関節の健康維持に役立つとされています。
ただし、サプリメントを与える際は、必ずかかりつけの獣医師に相談しましょう。
・マッサージや軽いストレッチ運動
マッサージや軽いストレッチ運動を取り入れることも効果的です。関節周囲の筋肉をほぐすことで血行を促進し、関節の柔軟性を保つことができます。
特にシニア期を迎えた犬や猫にとって、マッサージや軽いストレッチは快適な日々をサポートする良い方法です。
まとめ
犬や猫の関節トラブルは、早期発見と予防が何よりも重要です。日々の生活で小さな変化を見逃さず、適切なケアを行うことで、愛犬や愛猫の快適な暮らしを守ることができます。
定期的な健康診断やレントゲン検査を取り入れ、必要に応じて予防ケアを始めましょう。
岡山県倉敷市にある「倉敷動物愛護病院」
ペットと飼い主様にとって最善の診療を行うことを心がけております。
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