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獣医師コラム
犬の甲状腺機能低下症|愛犬の「なんとなくの変化」を見逃さない!
倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。
岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。
愛犬が最近、なんだか元気がなくなってきたと感じていませんか?以前は楽しそうに走り回っていたのに、今では運動を嫌がるようになってしまったり、食欲は変わらないのに体重が増えてきたりしていませんか?こうした変化は、甲状腺機能低下症という病気の兆候かもしれません。
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの不足によって新陳代謝が低下する病気ですので、早めの対策が大切です。
今回は、犬の甲状腺機能低下症について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
犬の甲状腺機能低下症は、主に甲状腺自体の異常が原因で発生します。その代表的な原因として、免疫介在性の甲状腺炎や特発性甲状腺萎縮(甲状腺が原因不明で縮小する)があります。
また、長期的なステロイド投与や甲状腺腫瘍も原因となることがあります。
一方で、下垂体や視床下部に腫瘍が発生することで、甲状腺ホルモンの分泌が妨げられることもあります。
遺伝的要因が関与している可能性もあり、特にトイプードル、ミニチュアシュナウザー、ビーグル、ゴールデン・レトリーバー、ドーベルマンなどの犬種で多く報告されています。
5歳以上の中高齢に多いですが、若い犬でも発症することがあります。
症状
甲状腺機能低下症の症状は多岐にわたります。最も一般的なものには、元気がなくなる、動きたがらない、散歩を嫌がる、食事量は変わらないのに体重が増えるなどがあります。
また、睡眠時間が増えたり、寒さに弱くなったりすることもあります。
皮膚や毛の変化も典型的な症状であり、皮膚が乾燥してフケが出る、毛が抜けやすくなる、尾の毛が抜ける(ラットテール)、顔がむくんで悲しそうな表情になる(悲観的顔貌)などの特徴的な症状も見られます。
これらの症状は、老齢による自然な変化だと誤解されることがあります。
診断方法
診断には、主に血液検査が用いられます。血液中の甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモンの濃度を測定することで、甲状腺の機能状態を確認します。
しかし、これらのホルモンの数値は他の病気や健康状態によっても変動するため、血液検査以外にも症状や身体検査の結果を総合的に判断することが重要です。
治療方法
治療は、合成甲状腺ホルモン製剤の内服を行います。この薬は不足している甲状腺ホルモンを補い、新陳代謝を正常な状態に戻す役割を果たします。治療を始める際には、適切な用量を見極めるために低用量から開始し、徐々に増やしていきます。
治療を開始してから4〜8週間後には、毛並みの改善や体重の減少、活動量の増加などの効果が見られることが多くあります。
治療の効果を確認するためには、定期的に血液検査を行い、甲状腺ホルモンの濃度を測定して適切な薬の量を調整することが重要です。
治療は長期にわたることが多く、症状が改善されたとしても治療を中断すると再発する可能性があります。そのため、獣医師の指導に従い、継続的な治療と健康管理が必要です。
予防法やご家庭での注意点
甲状腺機能低下症を完全に予防する方法は現時点では確立されていません。しかし、定期的な健康診断を受けることで、早期発見と適切な治療が可能になります。特に中高齢の犬や、甲状腺機能低下症になりやすい犬種を飼っている場合は、年に一度の健康診断を欠かさないようにしましょう。
日常生活では、愛犬の行動や体調の変化に敏感になり、活動量の減少や皮膚の異常などを見逃さないようにすることが大切です。異常を感じたら、すぐに動物病院に相談し、適切な対応を受けることが重要です。
まとめ
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの不足によって引き起こされる病気であり、さまざまな症状が現れます。特に中高齢の犬に多く見られるため、飼い主様は愛犬の健康状態を日々注意深く観察し、異常を感じたら早めに動物病院を受診することが重要です。
定期的な健康診断と適切な治療によって、愛犬の健康を守り、快適な生活を送ることができます。
■甲状腺に関連する記事はこちらで解説しています
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