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犬と猫の頻尿・血尿・排尿困難に注意!冬に増える症状×緊急度チェック

倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。
岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。

「トイレに何度も行くのに少ししか尿が出ていない」「赤っぽい尿が出た」と気づいたことはありませんか?
こうした異変は、体が発しているSOSの可能性があります。
特に冬は飲水量が減り、膀胱結石や尿石症といった尿路トラブルが増える季節です。
放置してしまうと、尿が出なくなり命に関わることもあるため、早めの受診がとても大切です。

この記事では、犬や猫の尿からわかる健康状態や緊急度、予防のポイントを解説していきます。

■目次
1.症状チェック|排尿の「回数・量・色・様子」で異変を見抜く
2.膀胱結石とは?犬や猫に多い尿石症の基本
3.なぜ冬に多い?尿トラブルが増える3つの理由
4.動物病院で行う検査・治療
5.日常でできる予防と再発防止
6.まとめ|排尿トラブルは迷わず受診を

 

症状チェック|排尿の「回数・量・色・様子」で異変を見抜く


泌尿器の病気である膀胱結石や尿石症は、初期段階では軽いサインしか見られないことがあります。
次のような変化が見られたら注意しましょう。

頻尿
トイレに何度も行くのにおしっこの出る量が少ない、トイレの前でうろうろする、何度もトイレに行く素振りを見せるなどの行動が見られる。

 

血尿
尿がピンク色、赤色、または茶色っぽく濁る。トイレの砂に血がつく場合もあり。

 

排尿困難
排尿時に力んだり、痛そうに鳴いたりする。時間をかけても尿が少量しか出ない、あるいはまったく出ないケースも。

 

その他のサイン
陰部をしきりに舐める、落ち着きがない、食欲が落ちている、元気がない。

夜間や多頭飼育では個体ごとの排尿変化に気づきにくいため、トイレの回数や尿の色を日常的に観察することが大切です。

 

<緊急度の判断|受診の目安>
症状別緊急度チェック:救急マーク=今すぐ病院へ行くべき症状/時計のマーク=当日中に受診すべき症状/病院マーク=早めの受診を推奨する症状
排尿トラブルは、症状によって緊急度が大きく異なります。
こちらで紹介する目安を参考に、ためらわずに動物病院へ相談、来院しましょう。

 

今すぐ病院に行くべき症状(命の危険がある状態)

✔尿が全く出ない
✔ぐったりしている
✔嘔吐がある
✔お腹が張って痛がる

特にオス猫では尿道が細く詰まりやすく、尿道閉塞を起こすと数時間で命に関わる危険があります。

 

24時間以内(当日中)に受診が必要な症状

✔血尿がある
✔排尿時に痛がる
✔何度もトイレに行くのに少ししか出ない

悪化すれば尿が完全に出なくなる恐れがあるため、早めの診察をおすすめします。

 

早めの受診(数日以内)が推奨される症状

✔排尿回数の増加
✔尿の濁り
✔陰部を気にする
✔元気や食欲の低下

軽症に見えても、膀胱炎や尿石症の初期段階であることが少なくありません。

🔽夜間診療についてはこちらで解説しています

 

膀胱結石とは?犬や猫に多い尿石症の基本


「石ができる場所と名称」泌尿器の図解:左右に腎臓があり、それをつなぐ膀胱、その下にある尿道にできる

膀胱結石は、尿の中に含まれるミネラル成分(マグネシウムやカルシウムなど)が結晶化し、石のように固まってしまう病気です。
尿石症は、尿路(腎臓・尿管・膀胱・尿道)に石ができる病気の総称で、その中でも最も多いのが「膀胱結石」です。
適切な対策をしないまま放置すると結晶が集まって石(結石)になり、膀胱や尿道に詰まってしまう危険があります。

尿道閉塞のリスクはオスに多く見られますが、特にオス猫では尿道の構造が細く長いため、結石や炎症によって簡単に詰まってしまうことがあります。
この状態は短時間で腎機能障害や高カリウム血症を引き起こし、命に関わる緊急疾患です。

 

なぜ冬に多い?尿トラブルが増える3つの理由


膀胱結石や尿石症は一年を通して起こり得ますが、特に冬は発症が増える傾向があります。その理由は主に次の3つです。

・飲水量の減少:寒さで水を飲む量が減ると、尿が濃くなり結晶ができやすくなります。
・運動不足:寒い季節は活動量が減り、代謝が低下することで尿中のミネラルバランスが崩れやすくなります。
・トイレの我慢:冷えた場所にトイレがある場合、排尿を我慢してしまうことも。尿が長く膀胱内にとどまると、細菌の繁殖や結晶の形成を促してしまいます。

ただし、尿石症のような泌尿器のトラブルは冬だけの病気ではありません。夏場でも水分不足や体質によって発症するため、季節を問わず注意が必要です。

 

動物病院で行う検査・治療


膀胱結石や尿石症が疑われる場合、動物病院では次のような検査と治療を行います。

尿検査では、尿のpH(酸性・アルカリ性)、潜血反応、細菌の有無、結晶の種類などを調べます。
また、レントゲンや超音波検査による画像検査で、結石の位置や大きさ、数を確認します。

来院時には排尿の回数、尿の色や量の変化、症状が出始めた時期、食事内容の変更、水を飲む量などの情報を獣医師にお伝えください。診断を正確かつスムーズに進められます。

<治療方法>
小さな結石であれば、結石の種類に合わせた療法食や薬を用いた内科治療を行います。
炎症が強い場合は抗菌薬や点滴を併用し、痛みの軽減を図ります。
結石が大きい、もしくは尿道閉塞を起こしている場合は外科手術が必要になることもあります。

治療後も再発を防ぐため、定期的な尿検査と食事管理を継続します。

 

日常でできる予防と再発防止


膀胱結石や尿石症は、生活環境の見直しによって再発を予防できる病気です。次のポイントを心がけましょう。

 

飲水量を増やす工夫
水飲み場を複数設ける、ウェットフードを取り入れる、ぬるま湯を与えるなど、水分を摂取しやすい環境をつくりましょう。

 

トイレ環境の改善
寒い時期はトイレが冷え込まない場所に設置し、いつも清潔に保つことが大切です。多頭飼育ではトイレの数を頭数+1個を目安に増やすと安心です。

 

定期的な尿検査
健康診断の一環として尿検査を受けることで、再発や初期の異常を早期に発見できます。

 

日常の観察
トイレの回数、尿の色や量、排尿時の様子を日々確認し、小さな変化に気づく習慣をつけましょう。

 

まとめ|排尿トラブルは迷わず受診を


犬や猫の頻尿や血尿、排尿困難といった症状は、膀胱結石や尿石症をはじめとする尿路疾患のサインである可能性があります。
「冬だからこそ起こりやすい」という季節要因はありますが、発症は一年を通じて見られます。
尿が出ない状態を放置すると、わずか数時間で命に関わることもあります。

排尿の異常を見つけたときは今回の緊急度チェックを参考に、動物病院までご相談ください。

 

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