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獣医師コラム
猫の腎臓病について|猫に多い病気の1つ
倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。
岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。
猫にとって身近な病気の一つに腎臓病があります。腎臓は体内の老廃物を排出し、水分バランスを保つなど、健康維持に欠かせない役割を果たしています。
今回は、猫の体における腎臓の役割、腎臓病の原因や症状、診断方法、治療法などについて詳しく解説します。
■目次
1.猫の腎臓病とは?
2.急性腎臓病の原因と症状
3.慢性腎臓病の原因と症状
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ
猫の腎臓病とは?
腎臓は、血液をろ過して体内の老廃物や毒素を除去し、ミネラルバランスを調整して尿として排出する重要な役割を果たしています。その過程で、血圧の調節や酸素を運搬する赤血球の産生の一部を担うなど、多くの重要な機能を持っています。腎臓が正常に機能しないと、これらのプロセスが乱れ、体全体の健康が脅かされます。
腎臓病は、大きく分けて急性腎臓病と慢性腎臓病の2つのタイプがあります。
<急性腎臓病>
数時間から数日で急激に腎臓の機能が低下する状態です。毒物による急性中毒や尿路閉塞など、特定の原因によって引き起こされることが多くあります。
<慢性腎臓病>
時間とともに徐々に腎臓の機能が低下していく状態です。多くの場合、初期段階では症状が非常に軽微であるため、発見するのが困難です。
症状が現れた時にはすでに進行していることが多く、治療は主に病状の進行を遅らせることに焦点が当てられます。
急性腎臓病の原因と症状
<原因>
尿路感染による細菌性腎盂腎炎、薬物や毒物(ユリ、ブドウなど)の摂取、尿路閉塞などが主な原因です。
ただし、尿路結石などによる尿路閉塞の場合、閉塞を取り除けば腎臓自体は正常に機能します。
<症状>
急性腎臓病では、元気や食欲の低下、嘔吐などの体調不良が突然現れ、急速に進行します。これらの症状は他の疾患でも見られるため、臨床症状だけで急性腎臓病を特定するのは難しいです。
慢性腎臓病の原因と症状
<原因>
はっきりとした原因はわかっていませんが、加齢に伴う変化、遺伝的要因、慢性的な炎症、高血圧や糖尿病などの他の疾患による腎臓の損傷、あまり水を飲まないことなどが原因とされています。
特に高齢猫に多く見られる疾患で、「15歳以上の猫の約80%が慢性腎臓病にかかる」とも言われています。
<症状>
初期の腎臓病では、多飲多尿など非常に軽微な症状しか現れないため、発見が難しいことがあります。慢性腎臓病は進行が遅く、日常の変動と見間違えやすいため注意が必要です。
病気が進行すると、元気や食欲の低下、嘔吐、下痢、脱水、体重減少、口臭など、より顕著な症状が現れます。
こうした症状がはっきりと現れた時には、すでに慢性腎臓病がかなり進行していることが多いです。
診断方法
猫の腎臓病の診断には、血液検査、尿検査、超音波検査などが行われます。これらの検査で腎臓の機能がどれくらい低下しているかを確認し、その結果に基づいて適切な治療プランを選択していきます。
治療方法
残念ながら、一度低下した腎機能を元に戻すことはできません。そのため、腎臓病の治療では病気の進行を遅らせ、猫の生活の質を向上させることが主な目的となります。
現在の腎臓の状態に応じて、食事療法や薬物治療、輸液治療などが行われます。
・食事療法
腎臓病用の療法食は、タンパク質、リン、ナトリウムの含有量が制限されており、腎臓病の悪化を和らげます。
・薬物治療
腎臓を保護する薬を使用します。これにより、腎機能の維持と病気の進行を遅らせることができます。
・輸液治療
脱水を防いで尿量を増やし、尿毒素の排出を促すために輸液治療が行われます。定期的に通院して輸液治療を受けることが推奨されます。
また、腎機能が低下している原因に応じた治療も行います。急性腎障害の場合は、一時的に低下した腎機能が回復する可能性もあります。
予防法やご家庭での注意点
腎臓病は初期症状がわかりにくく、見逃されやすいため、定期的に腎臓の状態をチェックすることが重要です。特に高齢の猫は、定期的に健康診断を受け、腎臓病の早期発見に努めましょう。
また腎臓病のリスクを減らすためには、適切なフードの選択や十分な水分摂取が大切です。フードは年齢や健康状態に合わせたものを選び、猫がいつでも水を飲めるように水飲み場を複数用意するとよいでしょう
さらに、愛猫のストレスを最小限に抑え、適度な運動を促すことも全体的な健康を保つ上で重要です。
まとめ
猫の腎臓病は非常に一般的な病気ですが、重症化すると愛猫の生活の質を大きく低下させてしまいます。愛猫の健康を守るためには、早期発見と早期治療が欠かせません。日頃から愛猫の健康状態に注意し、異変を感じたら早めに動物病院に相談しましょう。
また、見た目には健康そうに見えても、腎臓病が進行していることがあります。特に高齢の猫には、定期的な健康診断を受けることをおすすめします。
■関連する記事はこちらで解説しています
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