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猫の口内炎について|猫がご飯を食べない?口内炎かも

倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。

岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。

 

口内炎は、口の粘膜や舌が炎症を起こし、赤く腫れ、出血や痛みを伴うことがある病気です。

猫の場合、特に猫免疫不全ウイルス感染症や猫白血病ウイルス感染症などの感染症や、糖尿病や腎臓病といった全身性の病気が原因で発生することが多いため、愛猫に口内炎がある場合には、まずはその原因を探る必要があります。

 

今回は猫の口内炎について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。

■目次
1.猫の口内炎とは
2.症状
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ

 

猫の口内炎とは


猫の口内炎は、口の粘膜や舌が炎症を起こし、赤く腫れたり、血が出たり、痛みが生じる病気です。特に免疫機能が低下するような全身性の病気の兆候として、よく現れます。

 

また、口内の炎症が広がると、痛みのために食欲が低下することもあります。

 

特に注意が必要なのが、難治性口内炎です。これは、通常の治療ではなかなか改善しない重度の口内炎を指します。難治性口内炎は、猫にとって非常に苦痛を伴うため、積極的な治療が必要です。

 

症状


口内炎を起こすと、口の中の痛みから、以下のような症状が見られます。

 

ご飯をあまり食べなくなくなる

食べたそうだけど食べられない

食べこぼしが増える

口が臭い

よだれが増える

よだれに血が混ざることがある

毛繕いをしなくなり、毛がボサボサになる

痩せる

活動的でなくなる

 

原因


猫の口内炎の原因は明確にはわかっていませんが、主に以下のような感染症や、全身の病気で免疫機能が落ちることが原因で起こることがわかっています。

 

猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

猫カリシウイルス

糖尿病

腎臓病

重度の歯周病

 

これ以外にも、硬いものや尖ったものを噛んで口の中を傷つけた場合や、交通事故、熱湯による火傷や感電などでも口内炎が起こることがありますが、これらは非常にまれなケースです。

 

診断方法


まず、口の中を視診し、歯肉の状態や潰瘍の有無、歯石の蓄積、その他の異常がないかをチェックします。この視診によって、炎症の範囲や重症度、そして病気の原因となっている可能性のある問題点を特定します。

 

口内炎の診断自体は難しくありませんが、原因を特定して適切な治療を行わないと解決しません。そのため、血液検査やウイルス検査などを追加で行い、原因を探ります。

 

治療方法


口内炎の治療では、全身麻酔下で口の中を消毒し、歯垢や歯石を除去します。必要に応じて、抜歯などの外科処置を行います。その上で、抗菌剤やステロイドを投与し、細菌の増殖と炎症を抑えます。

ただし、この治療は一時的に症状を軽くするものであり、根本的な解決にはなりません。原因となる病気を突き止め、それに対する治療を行うことが重要です。

 

また、栄養補助食品やサプリメントを活用して猫の免疫力を高めることも有効です。

 

予防法やご家庭での注意点


猫の口内炎を予防するためには、感染症や病気を防ぎ、口の中を清潔に保つことが大切です。

 

まず、愛猫を感染から守るためには、完全室内飼いを心がけることが非常に重要です。猫免疫不全ウイルス(FIV)や猫白血病ウイルス(FeLV)に感染するリスクがある場合には、ワクチン接種が効果的な予防策となります。また、猫カリシウイルスも、定期的なワクチン接種によって予防することが可能です。

 

さらに、糖尿病や腎臓病などの全身性の病気は、初期段階では症状が現れにくいため、元気そうに見えても定期的に健康診断を受けて、早期発見・早期治療を心がけましょう。

 

猫は歯石が溜まりやすく、歯周病を引き起こしやすい動物ですので、デンタルケアも重要です。毎日の歯磨きを習慣にすることで、口の中を清潔に保つことができます。専用の歯磨きペーストや歯ブラシを使用することで、効果的にケアすることができます。

 

まとめ


口内炎は単なる口の病気ではなく、感染症や全身性の病気の兆候として現れることが多いです。口内炎が見られる頃には、すでに何らかの病気を発症していることも少なくありません。

普段からしっかりと健康チェックを行い、口内炎になる前に病気を見つけて対処してあげることが大切です。

 

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