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犬と猫の肛門周囲腺腫について│去勢手術で予防できる病気

倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。
岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。

 

肛門周囲腺腫は主に未去勢で中高齢のオスに見られる病気で、性ホルモンの影響を受けやすい良性の腫瘍です。この腫瘍は、肛門の近くにある皮脂腺が異常に増殖し、腫瘍を形成することによって発生します。
その外見が悪性の腫瘍に似ているため見た目だけで不安を感じることもあると思います。

 

今回は、犬と猫の肛門周囲腺腫について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。

■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

原因


肛門周囲腺腫は男性ホルモンの影響を受けやすく、特に未去勢の中高齢(6歳以上)のオス犬に多く見られます。
この腫瘍は肛門の周辺だけでなく、尾の付け根や包皮にも発生する可能性があります。

肛門周囲には主に次の3種類の腫瘍が見られます。

 

肛門周囲腺腫:良性の腫瘍です。

肛門周囲腺癌:悪性であり、遠隔転移や近くの臓器やリンパ節への浸潤を引き起こす可能性があります。

肛門嚢アポクリン腺癌:これも悪性で、肛門嚢のアポクリン腺から発生し、進行が早いという特徴があります。

 

また、猫には肛門周囲腺が存在しないため、肛門周囲の腫瘍は稀です。

 

症状


肛門周囲腺腫の症状は、位置や大きさによって変わることがありますが、一般的に肛門の周囲に小さなイボのような腫瘍が現れることが特徴です。これらの腫瘍は徐々に大きくなり、その成長によって排便が困難になったり、出血や化膿といった合併症を引き起こしたりすることもあります。

 

肛門周囲腺腫は良性の腫瘍であるため、転移することはありませんが、見た目だけでは悪性腫瘍との区別が難しいため、発見次第すぐに獣医師の診察を受けることが推奨されます。

 

診断方法


肛門の周囲にできる腫瘍には、良性のものとして肛門周囲腺腫があり、悪性のものとしては肛門周囲腺癌や肛門嚢アポクリン腺癌が存在します。これらの腫瘍は見た目だけでは判断が難しく、正確な診断のためには検査が必要です。

 

診断方法としては針吸引細胞診があり、患部に針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で細胞を観察する方法です。この方法は比較的簡単に行えるため初期の診断手段として用いられますが、得られる情報は限られているため、確実な診断には至りません。

 

そのため、最終的には手術で腫瘍を摘出し、その組織を病理検査にかけることが推奨されます。病理検査では、摘出された腫瘍の組織を詳細に分析することで、良性の肛門周囲腺腫か悪性腫瘍かの区別が明確に行えます。

 

治療方法


肛門周囲腺腫の治療方法として最も一般的なのは、腫瘍を手術で摘出することです。
そして肛門周囲腺腫は男性ホルモンが関与しているため、再発を防ぐ観点からも未去勢の場合は去勢手術も併せて行うことが推奨されます。
なお、腫瘍が小さいものであれば、去勢手術だけで腫瘍が消失することもあります。

去勢手術についてはこちらで解説しています

 

予防法やご家庭での注意点


肛門周囲腺腫の予防には去勢手術が最も効果的です。高齢になり基礎疾患などがあると麻酔のリスクが上がるため、特に若い時期に去勢を行うことで、この病気のリスクを大幅に減らすことができます。

 

さらに、定期的な健康診断を受けることも重要で、腫瘍が早期に発見されれば、早期に治療を開始することが可能になります。
飼い主様は、愛犬や愛猫の肛門周囲を定期的にチェックし、異常を感じた場合はすぐに獣医師に相談することが大切です。

 

まとめ


肛門周囲腫瘍には、良性や悪性のものがあり、治療方法もさまざまです。
また、腫瘍は小さいうちでないと完全に摘出できないこともあるので、去勢をしていないオスの犬の飼い主様は、なるべく早く見つけられるよう、日頃から観察してあげてください。

 

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