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獣医師コラム
犬と猫の子宮蓄膿症|避妊手術で予防可能な緊急性の高い病気
倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。
岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。
子宮蓄膿症は、子宮内に細菌が侵入し、増殖して膿が溜まる病気です。
主に高齢で避妊手術を受けていない犬や猫に多く見られ、放置すると子宮が破裂するリスクや多臓器不全、敗血症などを引き起こし、最悪の場合は命に関わることもある病気です。
今回は、子宮蓄膿症について症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
子宮蓄膿症は、健康な犬や猫の体内でも存在している大腸菌やブドウ球菌などの常在菌が、膣口から子宮内へ進行し感染を引き起こす病気です。
発情後には、プロゲステロンという性ホルモンが分泌されます。このホルモンは子宮内膜を増殖させ、子宮の免疫力を低下させることで、細菌が増殖しやすい環境を作り出します。
その結果、通常は肛門や陰部付近にいるこれらの菌が子宮内に侵入し、感染症を引き起こし、子宮蓄膿症に至るのです。
症状
子宮蓄膿症の症状は初期段階では見過ごされがちですが、病気が進行すると以下のような症状が現れます。
・食欲不振
・元気消失
・多飲多尿
・陰部を頻繁に舐める
・陰部からの異常な分泌物(開放性子宮蓄膿症の場合)
猫の場合、症状が犬ほど顕著ではないこともありますが、多飲多尿や嘔吐などの体調不良が見られることがあります。
また、子宮蓄膿症には「開放性」と「閉鎖性」の二つのタイプがあります。
開放性の場合、陰部から膿や血が排出され、周囲の毛が汚れるのが特徴です。
一方で、閉鎖性の場合は膿が外に出ず、子宮内に溜まり続けるため、腹部の膨張が見られます。
閉鎖性の方が開放性に比べて重篤な状態に陥りやすく、子宮が破裂するリスクやショック状態を引き起こし、最悪の場合、命に関わる危険が伴います。
診断方法
子宮蓄膿症の診断は以下の検査を通じて行います。
・血液検査:白血球数の増加を確認することで体内の炎症反応を評価します。また、細菌の毒素によって腎臓が傷害を受けるため、BUNの値が上昇することがあります。
・画像検査:X線検査では、子宮のサイズ、形状、およびその他の異常があるかどうかを視覚的に確認できます。超音波検査は、これをさらに詳しく調べる手段として用いられ、子宮内の膿の有無や量を正確に評価することが可能です。
治療方法
子宮蓄膿症の治療には主に内科治療と外科治療の二つの方法があります。
<内科治療>
この治療方法では、抗生剤を使用して治療を行います。抗生剤治療は症状の一時的な改善には効果がありますが、病気が再発する可能性が高いため、根本的な解決にはなりません。
特に、膿が子宮内に閉じ込められている「閉鎖性」の場合は、内科的治療だけでは十分でない可能性があります。
また、内科治療では以下のような薬剤を使用する場合があります。
・プロゲステロン受容体拮抗薬
子宮蓄膿症の引き金となる黄体ホルモンの働きを抑えるお薬です。
この薬は細菌の増殖を抑制し、通常閉じている子宮頸管を弛緩させることで、子宮内に溜まった膿汁の排泄を促す効果が期待できます。
・抗炎症剤薬
普段は炎症が波及して多臓器不全にならないように、炎症が引き起こされるリスクが高い症例に使用します。
子宮蓄膿症の炎症を抑制する効果が期待されています。
これらの薬剤の使用については、必ず獣医師に相談し、適切な治療計画を立てることが重要です。
<外科治療>
外科的治療では、感染した子宮と卵巣を摘出する手術を行います。この方法は根本的な治療とされ、再発のリスクを排除します。
子宮と卵巣を取り除くことで、子宮蓄膿症による直接的な死亡リスクも軽減されます。
しかし、手術にはリスクが伴い、手術後の死亡率は約5~8%とされています。これは手
術の難易度、感染の程度、および動物の全体的な健康状態によって異なります。
また、病気の発見が遅れた場合、手術を行っても救命率が低下するため、早期発見と早期治療が非常に重要です。
予防法やご家庭での注意点
子宮蓄膿症を予防する最も効果的な方法は避妊手術です。
健康で若い体にメスを入れることに躊躇する飼い主様もいらっしゃいますが、子宮蓄膿症やその他の生殖器関連の疾患を未然に防ぐためには、避妊手術が非常に有効です。
まとめ
愛犬や愛猫が未避妊の場合には、子宮蓄膿症を発症してしまう可能性があります。
この病気は、放置すると命に関わる状況に至ることもあるため、早期発見と迅速な治療が非常に重要です。
もしいつもと違う様子が見られた場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。
岡山県倉敷市にある「倉敷動物愛護病院」
ペットと飼い主様にとって最善の診療を行うことを心がけております。
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