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猫伝染性鼻気管炎について|猫がくしゃみを連発!もしかして猫風邪?

倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。

岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。

 

猫伝染性鼻気管炎は、猫ヘルペスウイルスへの感染によって引き起こされる、鼻と気管、目の炎症を伴う感染症です。

このウイルスは症状が治まった後でも体内から排除されず、無症状であっても他の猫に感染を広げてしまいます。

感染力が非常に強いウイルスですが、ワクチン接種で予防することが可能です。定期的なワクチン接種が最も効果的な予防策となるでしょう。

 

今回は猫伝染性鼻気管炎について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。

■目次
1.猫伝染性鼻気管炎とは
2.症状
3.原因
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ

 

猫伝染性鼻気管炎とは


猫伝染性鼻気管炎は猫へルペスウイルスへの感染によって鼻や気管に炎症を起こす病気です。

重症化すると発熱や食欲不振が見られ、場合によっては肺炎になることもあります。

感染した猫のくしゃみや鼻水などを介して他の猫に広がり、感染後は3〜4週間ほどで元気がなくなり、食欲不振や発熱、鼻水やくしゃみが現れます。

また、結膜炎も同時に発症することが多いです。

これらの症状は人間の風邪に似ているため、「猫風邪」とも呼ばれています。

 

通常は1週間ほどで症状が治りますが、その後もウイルスは体内に残ります

ウイルスは猫の免疫が低下したときに再び活性化しますが、感染した猫にはすでに免疫があるため再発することはなく、無症状のまま他の猫に感染を広げるキャリア猫(ウイルスを保有して感染源となる猫)となります。

 

症状


主な症状は発熱、鼻水、くしゃみ、咳、結膜炎です。結膜炎の場合、目の周りが腫れ、まぶたがめくり上がり、涙や目やにが出ることもあります。

 

通常は1週間ほどで症状は治りますが、細菌感染を伴った場合や、子猫では重症化することもあるため、早期の治療と適切なケアが重要です。

 

原因


猫ヘルペスウイルスへの感染が原因です。

このウイルスは一度感染すると、症状が治まった後も体内に潜伏します。

猫の免疫が低下したタイミングで再び活性化しますが、初回の感染で免疫が作られているため、その後はあまり症状が現れません。

 

しかし、症状が出ないからといって安心はできません。無症状のまま他の猫にウイルスを感染させるキャリア猫になってしまうのが厄介な点です。

 

新しい猫を迎えた場合、その猫がウイルスを保有していると先住猫にウイルスを感染させてしまう恐れがあります。また、逆に先住猫が無症状のキャリアだった場合、新しく迎えた猫に感染させてしまう可能性もあります。そのため、猫同士の接触には十分な注意が必要です。

 

診断方法


猫伝染性鼻気管炎は猫で一般的な感染症であり、症状からある程度の診断が可能です。

確定診断を下すには、鼻水や血液を用いたウイルス検査や抗体検査が必要ですが、通常はそこまでの検査を行うことは少ないです。

症状や経過を観察し、適切な治療を行うことが一般的です。

 

治療方法


症状に対する治療としては、脱水治療のための輸液、二次的な感染予防のために抗菌剤の投与、インターフェロンなどの抗ウイルス剤の全身投与などが行われます。

結膜炎の症状が出ている場合には、点眼治療も行います。

 

また、十分な食事が取れていない場合は、スポイトやチューブなどでの食事介助など、栄養管理も行います。

 

予防法やご家庭での注意点


猫伝染性鼻気管炎の予防にはワクチンが非常に有効です。

ウイルスに感染している猫を近づけないことも予防になりますが、感染していても無症状の猫が多いため、どの猫を避けるべきか分かりにくく、確実な方法とは言えません。

 

子猫の場合、生後約6ヶ月までは母猫から受け継いだ免疫に守られています。母猫に感染歴があればウイルスの抗体が子猫に引き継がれ、この期間中は感染から守られます。

しかし、それ以降はウイルスに対して無防備になるため、生後6ヶ月を過ぎる前から定期的なワクチン接種を行うことで、確実に感染から守ることが大切です。

 

また、新しい猫を迎えた際には、先住猫が新しい猫に、または新しい猫が先住猫にウイルスを感染させてしまうことがあります。

そのため、先住猫にはあらかじめワクチンを接種しておき、新しい猫もワクチン接種が終わるまでは接触させないよう注意しましょう。

 

まとめ


猫伝染性鼻気管炎は風邪のような症状が見られるため「猫風邪」とも呼ばれ、非常に感染力の強いウイルスが原因となります。

ワクチンで予防できるため、定期的な接種でしっかりと予防しましょう。

 

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