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愛犬や愛猫の肥満を防ぐ!|簡単にできる体型チェックと食事・運動管理法

倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。

岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。

 

犬や猫にも、それぞれに適した体格や体重がありますが、どのように見極めれば良いかご存じでしょうか?肥満は単に体重が増えるだけではなく、心臓や関節に大きな負担をかけてしまい、さまざまな病気を引き起こすリスクがあります。

 

だからこそ、肥満対策は愛犬や愛猫が長く健康で幸せに過ごすために、とても大切なポイントです。

愛犬・愛猫の肥満チェックを行い、健康を守るための対策を実践していきましょう。

 

今回は、犬と猫における肥満の危険性と、効果的な対策について詳しく解説します。

■目次
1.肥満度チェック
2.肥満の危険性と肥満対策の重要性
3.肥満対策の方法
4.健康診断の重要性
5.まとめ

 

肥満度チェック


犬や猫の適正体重は、品種や体格によって異なりますが、実際に見た目で肥満度を確認する簡単な指標があります。

以下のポイントを満たしていれば、標準体型といえるでしょう。ぜひ、愛犬や愛猫の体型をチェックしてみてください。

肋骨が触れるかどうか

手で肋骨を軽く触れてみましょう。触りやすければ問題ありませんが、肋骨が感じられなければ、肥満の可能性があります。

 

上から見たときのくびれ

上から体全体を見て、肋骨の後ろにくびれがあるか確認してください。くびれが見えなければ、肥満のサインかもしれません。

 

横から見たお腹のライン

横から見たときに、お腹がきゅっと吊り上がっている(くびれている)状態が標準です。胸とお腹の高さが同じ、またはお腹が下がっている場合は、肥満の可能性が考えられます。

 

肥満の危険性と肥満対策の重要性


肥満になると、さまざまな病気のリスクが高まり、最終的には寿命が短くなってしまう可能性があります。肥満による体への負担は以下の通りです。

 

<心臓・血管系への負担>

肥満になると、全身の血液量が増えたり、高血圧になったりして、心臓がたくさん働かなければなりません。これにより心臓に大きな負担がかかり、心臓病を発症するリスクが高まります。

犬の僧帽弁閉鎖不全症についてはこちらで解説しています

猫の肥大型心筋症についてはこちらで解説しています

 

<関節への負担>

体重が増えることで、関節にも余分な負担がかかります。特に犬では、関節がもともと緩いことが多いため、適正体重のときには問題がなかった関節も、肥満によって痛めてしまうことがあります。

猫でも、特に高齢になると関節炎が起こりやすく、肥満がそれを悪化させる可能性があります。

猫の関節炎についてはこちらで解説しています

 

<糖尿病のリスク増加>

特に猫では、肥満が糖尿病のリスクを高めることがよく知られています。適正体重を維持することは、糖尿病の予防にもつながります。

糖尿病についてはこちらで解説しています

 

<呼吸器系の負担>

肥満により気道が圧迫されることで、呼吸がしづらくなることがあります。

特にパグ、フレンチ・ブルドッグ、シー・ズーなどの短頭種の犬は、もともと呼吸に負担がかかりやすいため、注意が必要です。

犬の気管虚脱についてはこちらで解説しています

 

<肝臓への負担>

肥満が進むと、肝臓に脂肪が蓄積しやすくなり、脂肪肝になるリスクがあります。脂肪肝は肝臓の働きを弱め、全身の健康に悪影響を与えることがあります。

 

肥満対策の方法


健康的な体型を目指すためには、食事と運動のバランスをしっかり管理することが大切です。

 

<食事管理>

まずは、現在の体型と理想の体型をしっかり比較し、それに合わせて食事の量を調整していきましょう。

市販のフードのパッケージには、体重に応じた給餌量の目安が記載されていますが、それだけではうまく調整できないこともあります。そのような場合は、獣医師に相談してカロリー計算をしてもらい、愛犬や愛猫に合った食事の量や種類を見直すことをおすすめします。

 

また、1日に与える食事量を何度かに分けてあげると、一度に食べ過ぎてしまうのを防ぐことができ、消化にも優しいです。適切な食事管理は健康をサポートする大切なポイントですので、無理なく続けていきましょう。

 

<運動管理>

犬の場合、毎日の散歩が大切です。1日2回、各30分程度を目安に外へ出てリフレッシュさせてあげましょう。また、元気いっぱいで運動が得意な犬には、水泳やドッグランでの活動もとても効果的です。

一方、猫にはお家の中でも運動をさせてあげることができます。キャットタワーを使った高い場所への登り降りや、おもちゃを使って遊んであげることが運動不足の解消につながります。

 

ただし、肥満気味でダイエットを始める場合には、無理をしないことが大切です。激しい運動は避け、少しずつ体を慣らしながら進めていくように心がけましょう。

 

健康診断の重要性


毎日一緒に過ごしていると、愛犬や愛猫の体格の変化に気づきにくいことがあります。そのため、定期的に獣医師による健康診断を受けることで、正確な体格評価が可能になり、理想的な体型の維持に役立ちます。

 

健康診断は体格チェックだけでなく、肥満が原因で引き起こされるさまざまな病気の早期発見にもつながります。愛犬や愛猫が長く健康でいられるように、定期的な検診を心がけましょう。

目安として、成犬や成猫の場合は年に1回、7歳以上のシニア期では年に2回の健康診断をおすすめします。

 

まとめ


肥満はさまざまな病気の原因となるため、しっかりとした肥満対策が大切です。まずは、ご自宅の愛犬や愛猫の体格をチェックし、必要に応じて食事や運動の管理を見直してみましょう。

もし少しでも不安や疑問があれば、お気軽に当院にご相談ください。

 

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