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獣医師コラム
シニア犬の健康ケア法|高齢犬の体調変化と適切なサポートを獣医師が解説
倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。
岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。
近年、獣医療の進歩により、犬たちがより長く健康に暮らせるようになりました。ですが、高齢犬になると体にさまざまな変化が現れ、健康を維持するためのケアも変わってきます。
今まで成犬の頃と同じケアを続けている方も、新しいケア方法を取り入れることで、愛犬がさらに快適に過ごせるかもしれません。
今回は、そんな高齢犬に必要な基本的なケア方法について詳しくご紹介します。
■目次
1.高齢犬に見られる体の変化
2.高齢犬のケアのポイント
3.高齢犬の病気と健康診断の重要性
4.まとめ
高齢犬に見られる体の変化
一般的に、小型犬や中型犬では11歳ごろから、大型犬では8歳ごろから高齢期に入るとされています。
高齢期を迎えると、愛犬の体にはさまざまな変化が表れるため、注意深く観察することが大切です。ここでは、よく見られる体の変化についてご紹介します。
<消化機能の低下>
年齢とともに消化酵素の減少や腸の動きが鈍くなり、栄養の吸収が低下することで、消化器官の働きが衰えていきます。以下のような兆候が見られたら、消化機能の低下が考えられます。
・食べ物の消化が遅くなり、食欲が落ちる
・便秘や下痢を繰り返すことが増える
・体重が減ってくる
<運動機能の低下>
高齢になると、関節炎や筋力の低下、神経の働きが鈍くなることで、運動機能も衰えてきます。以下のような変化に気づいたら、運動機能の低下が進んでいるかもしれません。
・歩き方がぎこちなく、痛そうに歩くことがある
・散歩や遊びの時間が短くなり、すぐに休みたがる
・以前よりも疲れやすく、散歩中に立ち止まり、帰りたがることが増える
<被毛や皮膚の変化>
消化機能の衰えや細胞の老化により、皮膚や被毛の状態も変化します。これらの変化を見逃さないようにしましょう。
・毛のツヤがなくなり、パサつく
・毛色が薄くなる、白い毛が増える
・皮膚が乾燥してカサつく
・皮膚に小さなイボができることがある
<歯の変化>
高齢犬になると、歯石が溜まりやすくなり、歯周病が進行しやすくなります。以下のようなサインが見られる場合は、口腔ケアに注意が必要です。
・歯がぐらつく
・口臭が強くなる
高齢犬のケアのポイント
高齢になると、体の変化は避けられませんが、生活の質(QOL)を向上させ、できるだけ快適に過ごせるようにサポートすることが大切です。
ここでは、高齢犬をケアするためのポイントを紹介します。
<食事のケア>
高齢犬は消化機能が衰えるため、消化しやすい食事を与えることが重要です。シニア向けのドッグフードや、食べやすく柔らかくした食事を選びましょう。
1日分の食事を少量ずつ頻回に分けて与えると、消化に優しく、負担が少なくなります。また、栄養バランスにも気をつけてあげましょう。
シニア期に入ったら、一度獣医師に相談して愛犬に合ったフードを選ぶと安心です。
<運動機能の維持>
適度な運動は、筋肉の維持や関節の健康に役立ちます。無理をしない範囲で、短時間の散歩や軽い運動を続けていくことが大切です。
ただし、関節に痛みがある場合は愛犬が運動を嫌がることもあります。定期的に獣医師の診察を受け、関節の状態を確認しましょう。
また、関節用のサプリメントを取り入れることや、床を滑りにくくするなどの環境改善も効果的です。
<皮膚と被毛のケア>
高齢になると皮膚が乾燥し、毛のツヤが失われることがあります。保湿剤の使用や、食事やサプリメントにオメガ3脂肪酸やビタミンEを取り入れることで、皮膚と被毛の健康をサポートできます。
保湿剤については、動物病院でも取り扱いがありますので、気になる場合はご相談ください。
<歯のケア>
高齢犬にとって、歯のケアは非常に重要です。歯周病が進行すると、痛みや口臭だけでなく、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
歯磨きは、毎日のケアとして取り入れることが理想です。特に高齢犬では歯周病が進行しやすいので、少しずつ歯磨きに慣れさせ、遊び感覚で楽しく続けることが大切です。
もし歯石や歯周病が進行している場合には、動物病院での歯科処置を検討しましょう。持病がある場合には麻酔が使えないこともありますので、メリットとデメリットをしっかりと獣医師と相談した上で決定することが大切です。
高齢犬の病気と健康診断の重要性
高齢犬では、関節炎や歯周病が特に多く見られます。これ以外にも、個々の犬によって異なりますが、慢性腎臓病や心臓病、糖尿病、認知症といった病気のリスクが年齢とともに高くなっていきます。
これらの病気は、早期に発見し、早期に治療を開始することで、治療の効果が大きく変わり、治療費も抑えることができます。何よりも、早めに対処することで、健康で長生きできる時間を延ばし、愛犬との豊かな生活をより長く楽しむことができるでしょう。
特に高齢犬では、半年から4か月に1度の健康診断を受けることで、病気の早期発見が可能です。
まとめ
高齢犬では、さまざまな体の変化と新たな病気のリスクが高まります。愛犬が健康で快適に過ごせるよう、定期的な健康診断を欠かさず受け、愛犬に合ったケア方法を獣医師と相談しながら見つけていくことが大切です。
愛犬の健やかな日々をサポートするためにも、何か不安なことがあればぜひ当院にご相談ください。
■関連する記事はこちらで解説しています
・高齢犬の認知症について|愛犬が老後を安心・快適に過ごせるように
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