倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。
岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。
「猫風邪は治ったと言われたのに、鼻づまりやくしゃみが続いている」
「季節の変わり目になると、いつも鼻の症状が悪化する」
猫風邪が落ち着いたあとも、鼻づまりやくしゃみ、鼻水などの症状が続いたり、一度よくなっても繰り返したりすることがあります。このような場合は、猫風邪をきっかけに鼻の炎症が慢性化している可能性があります。
症状が長く続いていると、「いつものことだから」と慣れてしまうこともあるかもしれません。しかし、鼻づまりが強くなると、においを感じにくくなって食欲が落ちることがあります。また、長引く鼻症状の背景に、ほかの病気が隠れていることもあります。
今回は、猫風邪のあとも続く慢性的な鼻炎に焦点を当て、症状が長引く理由や治療、ご家庭でできるケアについて解説します。

■目次
1.なぜ猫風邪のあとに慢性鼻炎が残るの?
2.慢性鼻炎でよく見られる症状
3.こんな症状が見られたら早めに受診を
4.慢性鼻炎と間違えやすい病気
5.慢性鼻炎の検査と治療
6.ご家庭でできるケア
7.まとめ
なぜ猫風邪のあとに慢性鼻炎が残るの?
いわゆる「猫風邪」には、猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスなどの病原体が関係しています。
猫風邪にかかると、鼻の中の粘膜に炎症が起こります。急性期の症状が落ち着いたあとも、傷ついた鼻の粘膜に炎症が残り、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどが続くことがあります。
また、猫ヘルペスウイルスは、一度感染すると体内に潜伏する性質があります。症状がいったん落ち着いても、ストレスや体調の変化などをきっかけに再活性化し、くしゃみや鼻水などが再び表れることがあります。
さらに、炎症が続いている鼻では、二次的な細菌感染が加わるなど、複数の要因によって症状が悪化することもあります。
つまり、「猫風邪がずっと治っていない」という単純な状態ではなく、猫風邪をきっかけに鼻の炎症が慢性化し、その後も症状を繰り返しているケースがあるということです。
▶️猫ヘルペスウイルスの感染によって起こる「猫伝染性鼻気管炎(猫風邪)」については、こちらの記事で詳しく解説しています
慢性鼻炎でよく見られる症状
慢性鼻炎では、鼻に関する症状が長く続いたり、一度よくなったあとに繰り返したりすることがあります。
代表的な症状には、次のようなものがあります。
・くしゃみが続く
・鼻がつまっている
・透明な鼻水や粘り気のある鼻水が出る
・鼻づまりによって食欲が落ちる
・鼻からいびきのような呼吸音が聞こえる
・体調や環境の変化などをきっかけに症状を繰り返す
猫にとって食べ物のにおいを感じることは、食欲に大きく関係しています。そのため、鼻づまりによってにおいを感じにくくなると、元気はあっても食事量が減ってしまうことがあります。
また、慢性鼻炎では症状がずっと同じとは限りません。調子のよい時期と悪い時期を繰り返す猫もいます。
こんな症状が見られたら早めに受診を
以前から鼻炎がある猫でも、次のような変化が見られる場合は注意が必要です。
・鼻血が出る
・片側の鼻だけ症状が強い
・顔や鼻の周りが腫れている
・食欲が大きく低下している
・体重が減ってきた
・呼吸が苦しそう、いつもより速い
・口を開けて呼吸している
このような症状は、慢性鼻炎以外の病気でも見られることがあります。
特に、口を開けて呼吸している、明らかに呼吸が苦しそうといった場合は、早めに動物病院へ連絡してください。
慢性鼻炎と間違えやすい病気
くしゃみや鼻水、鼻づまりが長く続いているからといって、必ずしも猫風邪のあとに起こる慢性鼻炎とは限りません。
似た症状を引き起こす病気として、次のようなものがあります。
◼︎鼻腔内の腫瘍
鼻の中に腫瘍ができると、鼻水やくしゃみ、鼻血などが見られることがあります。進行すると、顔の形に変化が表れる場合もあります。
◼︎鼻の中の異物
草などの異物が鼻の中に入り込み、くしゃみや鼻水が続くことがあります。
◼︎歯の病気
上あごの歯の根元は鼻腔に近いため、歯周病などが進行すると鼻にまで影響が及び、鼻水などの症状につながることがあります。
◼︎真菌感染
真菌(カビの仲間)の感染によって鼻炎を起こし、鼻水やくしゃみなどが長く続くことがあります。
特に、これまでとは違う症状が出てきた場合や、治療を続けても改善しない場合には、「もともと慢性鼻炎だから」と決めつけず、ほかの原因が隠れていないか確認することが大切です。
慢性鼻炎の検査と治療
慢性的な鼻づまりやくしゃみが見られる場合は、まずこれまでの症状の経過や猫風邪にかかったことがあるか、鼻水の色や量、食欲や体重の変化などを確認します。
<慢性鼻炎で行う検査>
まずは鼻や口の中、呼吸の状態などを確認し、症状やこれまでの経過に応じて必要な検査を検討します。
例えば、次のような検査を行うことがあります。
・血液検査
全身状態を確認するとともに、必要に応じて感染症などについて調べます。
・画像検査
レントゲン検査などを行い、鼻やその周囲に異常がないか確認します。より詳しく鼻腔内を調べる必要がある場合には、CT検査などを検討することもあります。
・鼻腔内の検査
症状や検査結果によっては、鼻の中を詳しく確認する検査や、組織・分泌物などを採取して調べる検査が必要になる場合があります。
どの検査が必要になるかは、症状の続いている期間や鼻水の状態、片側だけに症状があるかなどによって異なります。その子の状態に合わせて必要な検査を検討していきます。
<慢性鼻炎の治療>
慢性鼻炎の治療は、症状や原因、そのときの状態に合わせて行います。
鼻の炎症や分泌物の状態などに応じて内服薬を使用するほか、薬液を細かな霧状にして吸入するネブライザー治療を行うこともあります。細菌による二次感染が疑われる場合には、検査結果や症状を確認したうえで抗菌薬の使用を検討します。
また、鼻腔内腫瘍や異物、歯の病気、真菌感染など、慢性鼻炎とは別の原因が見つかった場合は、それぞれの病気に応じた治療が必要です。
慢性鼻炎では、一度治療を行って症状が落ち着いても、再び鼻づまりやくしゃみが目立つことがあります。そのため、その都度症状や全身状態を確認しながら、治療内容を調整していくことが大切です。
ご家庭でできるケア
慢性鼻炎では、動物病院での治療とあわせて、猫が過ごしやすい環境を整えることも大切です。
◼︎室内の乾燥を防ぐ
空気が乾燥すると、鼻水が粘り気を増し、鼻づまりが強くなることがあります。
特に秋から冬は暖房によって室内が乾燥しやすいため、加湿器などを清潔に管理しながら活用し、乾燥しすぎない環境を整えましょう。
◼︎鼻の周りを清潔に保つ
鼻水が固まっている場合は、ぬるま湯で湿らせたガーゼやコットンなどで、鼻の周りをやさしく拭き取ります。
固まった鼻水を無理にはがすと皮膚を傷つける可能性があるため、十分に湿らせてから取り除きましょう。
◼︎食欲が落ちたときは食べやすくする
鼻がつまると食べ物のにおいを感じにくくなり、食欲が落ちることがあります。
フードを人肌程度に温めて香りを立たせたり、ウェットフードを活用したりすると、食べやすくなる場合があります。
ただし、ご家庭でケアを続けていても、食欲低下が続く場合や症状が悪化している場合は、長く様子を見ないようにしましょう。
また、症状が落ち着いたように見えても、処方された薬を自己判断で中止したり、量を変更したりしないことも大切です。治療について気になることがある場合は、獣医師にご相談ください。
まとめ
猫風邪のあとに、鼻づまりやくしゃみなどの症状が長く残ることがあります。鼻の粘膜に炎症が残って慢性化している場合や、体調や環境の変化などをきっかけに症状を繰り返す場合もあります。
一方で、長く続く鼻症状の背景には、鼻腔内腫瘍や異物、歯の病気、真菌感染など、慢性鼻炎とは別の病気が隠れていることもあります。
「いつもの鼻炎」と決めつけず、症状が長く続いている場合や、これまでとは違う変化が見られた場合は、一度動物病院で診てもらいましょう。
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