倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。
岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。
愛犬・愛猫と暮らすなかで、「前より水をよく飲んでいるかも」と感じたことはありませんか?
水を飲みに行く回数が増えたり、トイレシートの濡れる範囲が広くなったり、猫砂のおしっこの固まりが大きくなったりすると、「暑いからかな」「年齢のせいかな」と思うこともあるかもしれません。
しかし、水を飲む量とおしっこの量が増える「多飲多尿」は、腎臓病や糖尿病、ホルモンの病気などで見られる症状の一つです。
元気や食欲があると見過ごしやすい変化だからこそ、普段の飲水量やおしっこの様子を知っておくことが大切です。
今回は、犬や猫の多飲多尿で考えられる主な病気や、ご家庭で確認したいポイント、動物病院で行う検査について解説します。

■目次
1.「多飲多尿」とは?まずは“いつもとの違い”を確認しましょう
2.多飲多尿で考えられる代表的な病気
3.多飲多尿はほかの病気で見られることもあります
4.健康診断が病気の早期発見につながることもあります
5.シニア犬・猫だからこそ、日頃の記録が大切
6.まとめ
「多飲多尿」とは?まずは“いつもとの違い”を確認しましょう
多飲多尿とは、水を飲む量が増える「多飲」と、尿の量が増える「多尿」がともに見られる状態です。
犬や猫が飲む水の量は、体重だけでなく、食事の内容や季節、気温、運動量などによっても変わります。例えば、ドライフードを中心に食べている子と、水分を多く含むウェットフードを食べている子では、水を飲む量に違いが出ることがあります。
そのため、飲水量だけを見て、ご家庭で正常か異常かを判断することは簡単ではありません。
大切なのは、「その子が普段どのくらい水を飲み、どのくらいおしっこをしているか」と比べることです。
次のような変化がないか確認してみましょう。
✓水を飲む回数や量が以前より増えた
✓水の減りが以前より早くなった
✓おしっこの回数が増えた
✓1回のおしっこの量が増えた
✓トイレシートの濡れる範囲が広くなった
✓猫砂のおしっこの固まりが大きくなった
✓夜中にも起きて水を飲むようになった
「水を飲む量が増えた気がする」という場合は、実際に飲水量を測ってみるのもひとつの方法です。
ただし、こぼした水や食事から摂取した水分まですべて正確に把握することは難しいため、厳密に測ろうとする必要はありません。「以前より増えている」という変化を知るための目安として記録しておくとよいでしょう。
多飲多尿で考えられる代表的な病気
水をよく飲み、おしっこの量が増える病気はひとつではありません。
ここでは代表的な病気をご紹介しますが、多飲多尿だけで病気を特定することはできません。それぞれの病気について詳しく知りたい方は、関連記事もあわせてご覧ください。
◼︎腎臓病
腎臓には、体の中の老廃物を尿として排出したり、水分量を調整したりする役割があります。
腎臓の機能が低下すると、尿を十分に濃くできなくなり、薄い尿を多く出すようになることがあります。その結果、失われた水分を補うために水を飲む量も増えるため、「最近よく水を飲む」という変化が病気に気づくきっかけになることがあります。
特に猫の慢性腎臓病はシニア期に多く見られます。
初期には目立った体調の変化が分かりにくいこともあるため、飲水量や尿量の変化に加え、体重や食欲の変化にも注意しましょう。
◼︎糖尿病
糖尿病は、血糖値を調節するインスリンというホルモンが十分に働かなくなり、血液中の糖が増える病気です。
血糖値が高くなり、尿の中に糖が排出されるようになると、それに伴って尿量が増え、水をたくさん飲むようになることがあります。
多飲多尿に加えて、次のような変化が見られる場合もあります。
・食欲があるのに体重が減ってきた
・以前より食欲が増えた
・元気がなくなってきた
◼︎クッシング症候群
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は、コルチゾールというホルモンが体内で過剰になることで、さまざまな症状を引き起こす病気です。
特に中高齢の犬で見られることがあり、多飲多尿が病気に気づくきっかけの一つになります。
ほかにも、次のような変化が見られる場合もあります。
・食欲が増える
・おなかが膨らんで見える
・毛が薄くなる
・皮膚が薄くなる
▶️犬のクッシング症候群についてはこちらで詳しく解説しています
多飲多尿はほかの病気で見られることもあります
多飲多尿の原因は、腎臓病・糖尿病・クッシング症候群だけではありません。
例えば、猫の甲状腺機能亢進症や肝臓の病気、血液中のカルシウムが高くなる病気などでも、水を飲む量や尿量が増えることがあります。
また、避妊手術を受けていないメス犬では、子宮蓄膿症によって多飲多尿が見られることがあります。元気や食欲の低下、嘔吐、陰部からの分泌物などを伴う場合は、早めの受診が必要です。
そのほか、使用している薬によって飲水量や尿量が変化することもあります。
そのため、「水をたくさん飲む=腎臓病」などと、症状だけで原因を判断することはできません。
年齢や性別、食欲、体重の変化、持病、服用している薬などを確認したうえで、必要な検査を行い、原因を探していくことが大切です。
健康診断が病気の早期発見につながることもあります
多飲多尿はさまざまな病気で見られるため、水を飲む量やおしっこの量だけで原因を特定することはできません。
動物病院では、普段の様子や症状についてお伺いしたうえで、必要に応じて次のような検査を行います。
◆ 血液検査
腎臓や肝臓に関する数値、血糖値などを確認します。
◆ 尿検査
尿の濃さや糖、たんぱく質などを調べ、腎臓や尿路の状態を確認します。
◆ 画像検査・ホルモン検査
症状や血液検査・尿検査の結果に応じて、超音波検査やレントゲン検査、ホルモン検査などを追加することがあります。
このように、複数の検査結果を組み合わせながら、多飲多尿の原因となる病気が隠れていないかを確認していきます。
特にシニア期では、初期には目立った症状が表れにくい病気もあります。症状が軽いうちに健康診断などで異常に気づくことができれば、必要な治療や食事管理を早い段階から始められる場合があります。
秋は夏の暑さが落ち着き、愛犬・愛猫の健康状態を改めて確認する機会にもなります。「夏だから水をたくさん飲んでいたのかな」と思っていたものの、涼しくなっても飲水量が戻らない場合などは、一度健康診断を受けてみるのもよいでしょう。
▶️健康診断の重要性についてはこちらで解説しています
▶️健康診断で早期発見できる病気についてはこちらで解説しています
シニア犬・猫だからこそ、日頃の記録が大切
病気の早期発見につなげるためには、健康診断を受けるだけでなく、ご家庭で普段の様子を知っておくことも大切です。
とはいえ、毎日すべての飲水量や排尿量を正確に測る必要はありません。
「最近、水の減りが早くなった」
「トイレシートを替える回数が増えた」
「猫砂のおしっこの固まりが大きくなった」
といった、いつもとの違いに気づくことが重要です。
また、水を飲む量やおしっこの変化とあわせて、次のような点も確認しておきましょう。
・食欲に変化はないか
・体重が減っていないか
・以前と同じように動いているか
・寝ている時間が増えていないか
・嘔吐や下痢などがないか
こうした変化を記録しておくと、動物病院を受診した際にも、診断につながる大切な情報になります。
普段から愛犬・愛猫の「いつも」を知っておき、気になる変化があれば記録しておきましょう。ご家庭での気づきと定期的な健康診断を組み合わせることが、病気の早期発見につながります。
まとめ
犬や猫の「水をよく飲む」「おしっこの量が増えた」という変化は、腎臓病や糖尿病、クッシング症候群など、さまざまな病気に気づくきっかけになります。
特にシニア期では、年齢による変化と決めつけず、普段と比べて飲水量や尿量が増えていないか確認することが大切です。
普段より明らかに水を飲む量やおしっこの量が増え、その状態が続いている場合は、元気や食欲があっても一度動物病院へご相談ください。
倉敷動物愛護病院では、血液検査や尿検査などを組み合わせ、犬や猫の健康状態を確認しています。「最近、水を飲む量が増えた気がする」など、少しでも気になる変化がある場合はご相談ください。
岡山県倉敷市にある「倉敷動物愛護病院」
TEL:086-465-3778
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