倉敷市、岡山市、総社市、浅口市、玉野市、早島町の皆さんこんにちは。
岡山県倉敷市の倉敷動物愛護病院の院長垣野です。
「何度もトイレに行くのに、おしっこが少ししか出ていない」
「猫砂に血がついている」
「トイレ以外の場所でおしっこをするようになった」
猫にこのような変化が見られる場合、膀胱や尿道にトラブルが起きている可能性があります。なかでも猫に多く見られるのが、はっきりとした原因を特定できない「猫特発性膀胱炎(FIC)」です。
猫特発性膀胱炎はストレスとの関係が深く、飼い主様の外出が増える夏休みや、留守番中の生活環境の変化が発症のきっかけになることもあります。
そこで今回は、猫特発性膀胱炎の症状やストレスとの関係、ご家庭でできる環境づくりについて解説します。

■目次
1.猫特発性膀胱炎(FIC)とは?
2.猫特発性膀胱炎で見られる症状
3.猫のおしっこが出ない場合はすぐに受診を
4.夏の留守番や生活の変化がストレスになることも
5.検査と治療|再発を防ぐための環境づくりも大切
6.まとめ
猫特発性膀胱炎(FIC)とは?
猫特発性膀胱炎は、膀胱に炎症が起きているにもかかわらず、結石や細菌感染などの明確な原因が見つからない病気です。「特発性」とは、検査をしても原因をひとつに特定できないことを意味します。
猫に見られる下部尿路疾患の代表的な原因のひとつで、膀胱や尿道だけでなく、神経やホルモン、生活環境など、さまざまな要因が複雑に関係して発症すると考えられています。特に、環境の変化などによるストレスが症状の発生や再発に関係することが知られています。
猫特発性膀胱炎で見られる症状
猫特発性膀胱炎では、次のような変化が見られることがあります。
・何度もトイレに行く
・1回のおしっこの量が少ない
・おしっこをするときに力む
・排尿時に鳴く、落ち着かない
・おしっこに血が混じる
・トイレ以外の場所でおしっこをする
・陰部を繰り返しなめる
トイレ以外での排尿は、しつけや性格の問題とは限りません。排尿時の痛みや違和感によって、猫がトイレを避けるようになることもあります。
また、トイレに長く座っていても、実際にはほとんどおしっこが出ていない場合があります。便秘で力んでいるように見えることもあるため、排尿した跡や猫砂の固まりまで確認しましょう。
猫のおしっこが出ない場合はすぐに受診を
猫が何度もトイレに行くのにおしっこが出ていない場合、尿道閉塞を起こしている可能性があります。尿道閉塞とは、結晶や結石、尿道栓、炎症などによって尿の通り道がふさがれてしまう状態です。
特にオスの猫は尿道が細く長いため、尿道閉塞を起こしやすい傾向があります。尿を排出できない状態が続くと、腎機能の低下や電解質の異常を引き起こし、命に関わることもあるため、尿道閉塞は速やかな治療が必要な緊急事態です。
次のような様子が見られる場合は、翌日まで待たず、すぐに動物病院へご連絡ください。
・何度も排尿姿勢を取るが、おしっこが出ない
・数滴しか出ていない状態を繰り返す
・トイレで苦しそうに鳴く
・元気や食欲がなく、ぐったりしている
・嘔吐している
・おなかを触られるのを嫌がる
「少しは出ているから大丈夫」とは限りません。おしっこが正常に出ているか分からない場合も、ご家庭で長く様子を見ずにまずは一度ご相談ください。
夏の留守番や生活の変化がストレスになることも
猫は生活環境の変化に敏感な動物です。飼い主様にとっては小さな変化でも、猫には大きな負担となり、猫特発性膀胱炎の症状につながることがあります。
夏は旅行や帰省などによって、猫が普段より長く留守番をする機会も増えたり、次のような変化が重なることもあるため、注意が必要です。
・飼い主様の在宅時間や生活リズムが変わる
・ペットホテルや知人宅など、普段と異なる場所で過ごす
・留守中にトイレの掃除回数が減る
・来客や工事など、知らない人や音が増える
・エアコンの使用により環境音や室温、部屋の使い方が変わる
・多頭飼育で、食事やトイレをほかの猫に妨げられる
また、暑い時期に飲水量が十分でなかったり、留守番中に水をこぼして飲水量が少なくなったりすると、尿が濃くなることにつながります。猫に留守番をさせる際は、室温だけでなく、水やトイレ、落ち着いて休める場所も整えておきましょう。
検査と治療|再発を防ぐための環境づくりも大切
猫特発性膀胱炎が疑われる場合は、まず症状や生活環境について詳しくお伺いし、身体検査や尿検査を行います。
血尿や頻尿などは、尿路結石や細菌感染、腎臓病などでも見られるため、必要に応じて超音波検査やレントゲン検査、血液検査などを組み合わせ、ほかの病気が隠れていないかを確認します。
<症状に応じた治療>
猫特発性膀胱炎では、痛みや炎症を和らげる治療を行いながら、水分摂取を促し、ストレスの原因を減らしていきます。
なお、猫特発性膀胱炎は細菌感染を原因とする病気ではないため、すべての猫に抗菌薬を使用するわけではありません。検査結果や症状に応じて、その子に必要な治療を検討します。
尿道閉塞を起こしている場合は、尿道にカテーテルを通して尿を排出させるなど、閉塞を解除するための処置が必要です。状態によっては、点滴や入院による管理を行います。
<再発を防ぐための環境づくり>
猫特発性膀胱炎は、一度症状が落ち着いても再発することがあります。そのため、治療とあわせて、猫が安心して過ごせる環境を整えることも大切です。
◆ トイレ環境
・トイレは猫の頭数に1個加えた数を目安に用意する
・静かで落ち着ける場所に設置する
・汚れた猫砂をこまめに取り除く
◆ 水分摂取
・水飲み場を複数用意する
・水をこまめに取り替える
・ウェットフードなども活用して水分摂取を促す
◆ 安心して過ごせる環境
・隠れられる場所をつくる
・食事や遊びの時間をできるだけ一定にする
・多頭飼育では、食器や休む場所を分ける
ただし、環境を急に大きく変えること自体が、新たなストレスになる場合もあります。すべてを一度に変えようとせず、猫の様子を見ながら少しずつ調整しましょう。
まとめ
猫が何度もトイレに行く、血尿が出るなどの変化は、体からの大切なサインです。特に、おしっこが出ていない、または数滴しか出ない場合は、様子を見ずにすぐにお電話ください。
倉敷動物愛護病院では、猫の膀胱炎や排尿トラブルの診療を行っています。救急の場合は、ご来院の前にまずお電話でご連絡ください。症状や現在の状態をお伺いし、受診についてご案内します。
岡山県倉敷市にある「倉敷動物愛護病院」
TEL:086-465-3778
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